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【Vol.35】リノベるを「多くの働く人たちを、たくさんの子どもたちの憧れの的にする」ためのステージに。人事責任者 安河内亮が描くビジョン
サービスの拡充に100%を注いで走ってきたリノベるにとって、企業としての組織構築、特に人事は長年の課題の一つでした。その課題にいよいよ向き合うにあたり、キーパーソンとなるのが、今年ジョインした執行役員の安河内です。安河内自身にこれまでのキャリアを振り返りつつ、リノベるでのビジョンを語ってもらいました。
安河内 亮 Ryo Yasukochi
2003年、大学卒業後、株式会社ベンチャー・リンク入社。FC店舗のスーパーバイジング等に従事した後、2007年より人財開発部マネージャーに。2008年、株式会社リンク・エージェント(現 株式会社FCEトレーニング・カンパニー)取締役就任。2009年より代表取締役、2013年より株式会社グローバルアカデミー 代表取締役。2019年、リノベる株式会社へ。執行役員 社長室室長として、主に人材戦略・ブランド戦略を担当する。
リノベるとの出会い
現メンバーの多くは当時を知らないかもしれませんが、実は2014年頃、リノベるの新卒採用をお手伝いしていたんです。もともと副社長の大森さんとは、ベンチャー・リンク時代にお世話になった先輩・後輩の間柄。初めて本格的な新卒採用をスタートするということで、人事コンサルティングの会社で代表を勤めていた私にお声がけいただいたのがきっかけです。実際、社内のインタビューや採用セミナーを私が担当していたので、新卒2期生や当時サポートいただいた何名かのメンバーとは面識もありましたね。
リノベる新卒説明選考会の風景。現在新卒6期生の採用がスタートしている
キャリアを通じて突き詰めてきた人材開発というテーマ
そもそも私が人事の領域に足を踏み入れたのは、新卒入社したベンチャー・リンク時代のことです。「牛角」や「ゴルフパートナー」など店舗型ビジネスのFC展開を支援するコンサルティング事業において、3年ほどFC店舗のスーパーバイザーを務めた後、人事部に異動しました。そこで言われたのが、「うちの会社の採用を変えるぞ」と。もともと中途採用を軸に据えていたのですが、離職率の問題などなかなかうまくいっていなかったんです。一方、新卒に目を向けると、いろいろと苦しい時期はあったものの、比較的多くのメンバーが残っているし活躍している。一度、新卒に振り切った採用戦略をとろうということで、私がそこに責任者としてフルコミットすることになりました。
立ち上がりという意味では中途のほうが早いですから、いかに新卒採用でそれに近づけていくかが大きな課題に。選考前・選考中・内定期間中・入社後と、大きく4つのフェーズごとに“教育観点”を組み込んだプログラムを作り、「見極めるための選考ではなく、選考プロセスを通じてどれだけ教育できるか」というテーマをもって臨んでいました。
当時は、私ともう2人の計3人で新卒採用を主に担当していたんですが、文字通りのフル稼働です。たとえば1Dayインターンシップの開催数は、年間100本。本格選考がスタートするまでのプログラムですから、実質半年で100本なんです。1Dayインターンシップが、ほぼ日課になっていました(笑)。そこで3,000人ほどの学生にタッチして、説明会のエントリー数は10,000人ほど。
その半分の5,000人とは実際に面接です。とてもじゃないですが、身体一つでなんとかなる数ではありません。それで現場の各社員にも面接官になってもらうわけですが、いくら採用基準を定めようと、結局は人が判断するのでブレるんですね。
人に依存しない選考基準を作り込まなければと考えて、目をつけたのが適性検査です。一度、適性検査を突き詰めてみようということで、実際に15種類くらい受けてもらって、彼らが入社して1年間、それぞれの仕事ぶりをトラッキングしました。1年後にどんなパフォーマンスを出しているのか。思った以上に活躍しているメンバーもいれば、伸び悩んでいるメンバーもいる。その結果と適性検査のデータを突き合わせることで、「極めて正確なテスト」を一つ見つけることができました。以来、適性検査は常にそれを活用しています。
そのデータは入社後の配属決定にも有効でした。個人の希望などを一旦度外視して、上司との相性、つまりデータの傾向が似ている上司との組み合わせで配属先を決めた年のベンチャー・リンクの1年内離職は、30%から8%まで激減しました。採用や人材開発において、“人の目”がいかに不安定なものなのか身をもって実感しました。とにかく「判断」に関する人への依存度を極力下げて、対面の場ではグリップやモチベーションを上げることに集中する。基本的に見極めはしない。その振り切りが、功を奏したんだと認識しています。
コンサルティングではなく、自社事業で突き抜けたい
そうしたノウハウを外部の企業にも提供しようということで、採用コンサルティングや人材教育の事業を立ち上げ、スピンアウトしたのが2010年。代表として、主にBtoBビジネスの企業に向けた人材コンサルティングのサービスを提供してきました。直近では、HRテックの自社プロダクトも開発。1年で150社ほどの導入が進み、HRアワード2018(「日本の人事部」主催)で人材開発・育成部門の最優秀賞を受賞することもできました。
一方、自分のなかで大きくなっていったのが、コンサルティングではなく「ど真ん中の事業会社をやりたい」、そして「自ら実務に取り組みたい」という思いでした。
私は「多くの働く人たちをたくさんの子どもたちの憧れの的にする」というミッションを個人として掲げています。それをやり遂げる手段として、今まで多くの働く人たちへのコンサルティングサービスを手がけてきましたが、それ以上に効果的なもう一つの手段が、”自ら成功事例をつくること”だと思うんです。たとえばGoogle。あの会社の人事ってどんな仕組みをとっているんだろうかと、Googleという会社の働き方をみんなが研究したり真似しようとします。日本でいえば、たとえばサイバーエージェントもその一つかもしれません。このように、自ら一つの道で際立った成功事例をつくることは、コンサルティングとはまた違った方向で非常に有効な手段だなと考えていたんですね。
加えて、社会人最初に経験したベンチャー・リンクがとにかく個人で手と足を動かしという文化だったので、その影響もあるのかもしれません。理屈ではなく、やっぱりそういうのが好きなんです。自分でやる、自分でやって成功事例を作る、成功事例をもってインパクトをもたらす。ここにチャレンジしたいという思いを無視することはできませんでした。
リノベるを語り、リノベるを体験した一人として
今回、自身の今後を考えるなかで改めてリノベるを見たときに、何より刺さったのが、明快なミッション・ビジョンの存在でした。
冒頭でお話したように新卒セミナーを通じてリノベるのサービスやビジネスについてはソラで語れるくらい自分に染み込んでいましたし、実は自分自身も実際に「リノベる。」で中古マンションのリノベーションを経験したユーザーでもあって。その魅力と可能性については文字通り身をもって感じていたんですが、ミッションについては、当時それらしきものがあるようなないような……。ところが、数年ぶりに改めて山下さんをはじめリノベるのメンバーと話をしてみると、以前とは比較にならないレベルでミッション・ビジョンがクリアになっている。その後も山下さんとは何度もコミュニケーションを重ねてきましたが、毎回の会話の中にミッションの話が出てくるところがとても印象的で。次のステージはここだと、自然と意志は固まりました。
リノベるが掲げているミッション・ビジョン・「リノベる人とは」
リノベるを、日本を代表する組織のロールモデルに
リノベるへジョインするにあたり、自分としてのビジョンを一つ定めました。それは「日本を代表する“組織のロールモデル”をつくる」ということ。その一つのマイルストーンとして、まず「働きがいのある会社ランキング」で日本一になりたいと思っています。これは自分自身の悲願でもあって、今までのキャリアでの最高位が6位なんですね。結構、力を入れて取り組んだのですが1位にはなれませんでした。この目標にリノベるで挑戦しようと思っているのですが、そもそも働きがいというのは人事部門や経営陣が一生懸命になって作れるものではありません。あくまで、メンバー一人ひとりの手で作っていくもの。その文化・風土をリノベるにも根づかせていきたいですし、それができる手応えはすでに感じています。
一言でいうと、リノベるの人たちは”シラけていない”んです。先日、初めて全メンバー出席の全体会議に参加し、司会をさせてもらいました。会のスタートで、「皆さん、突然ですが拍手をお願いします」とアイスブレイクをしたんですね。皆さん拍手されたあとでもう一度、「今度は、安河内の入社がめでたい!嬉しい!という気持ちを込めて拍手をお願いします」という流れで、もう1度力を込めて(笑)拍手をしてもらいました。拍手や聞く姿勢、すべてが心理学で言う”ストローク”になりうるので、これから始まる会議の発表を「プラスのストローク」を選択しながら聞きましょう、といった内容です。
リノベるでは四半期に一度、全社員が集い、目標や方針の共有をしている
私はこれまで研修担当としてさまざまな会社、さまざまな人の前でこうした話をしてきたわけですが、シラけている会社だと、一瞬「え?」という変な空気になるんです。その感覚でいくと、リノベるの全体会議は、いい表情で聞いている人が多いなという印象をもちました。そこに、すごく手応えがあった。今まで数々の研修をやってきたからこその感覚かもしれませんが、こういう話をしたときにすっと斜に構える人の割合が非常に少なかったんですね。そんなの当然だと思われるかもしれませんが、これは決して当たり前のことではないんです。僕自身は、組織を作っていくうえで、これほど強みになることはないと思っています。
先日から早速、社内メンバーへのインタビューを始めました。部署や役割、関係なく対話しようと動いている最中なんですが、これまでの課題などもより明確に見えてきたように感じています。今に至るまで、リノベるも人材開発や組織づくりでさまざまな取り組みをしてきてはいるのですが、準備をする側と受ける側と分かれてしまっていたのではないかなと。そうではなく、先ほども述べたように、やはり「一緒になってつくっていく」ことが前提だと思っています。私自身、コンサルタントとしてではなく同じ仲間の一人としてそこに携わっていけることに、やり甲斐と手応えを感じています。みんなが顕在的にも潜在的にも必要としているものを提供し、ともに会社をつくっていく。そんな動きを続けていきたいですね。