相撲好きなら知っておきたい「蔵前国技館」の昔と今

相撲好きなら知っておきたい「蔵前国技館」の昔と今

日本の伝統文化である「相撲」。実は、蔵前は江戸時代から相撲のメッカでした。今なお、街の中にはその歴史を感じさせるものがたくさんあります。蔵前国技館は1984年に歴史の幕を閉じ、二代目となる両国国技館にその座を譲りましたが、その跡地は新たな見学スポットになっているといいます。相撲ファンが押し寄せていた頃の蔵前を偲んで、街を散策してみましょう。

戦後の大相撲を支えた「蔵前国技館」

国技館といえば「両国」が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。実は今の両国国技館は「二代目」。戦後、初代の両国国技館が接収※され、昭和29年に「蔵前国技館」が建設。1985年に現在の両国国技館が建てられるまでの間、興行が行われていました。

※国家が所有物を取り上げること

蔵前神社に残る、相撲のメッカの証

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蔵前神社には、落語「元犬」像の隣に、歌川國安が描いた力士錦絵「奉納力持(ほうのうちからもち)」があります。相撲という職業力士が生まれる前は、素人の「力持ち」をたたえる行事があったといいます。当時は広大な敷地を誇っていた蔵前神社では、勧進(かんじん)大相撲※が22回も行われ、人気力士みたさに多くの観客が集まったといいます。

※寺社の建築、修繕などに要する費用を集めるために開催された相撲のこと

蔵前神社
【住所】東京都台東区蔵前3-14-11
【公式サイト】http://kuramaejinja.justhpbs.jp/index.html

数々の”史上初”が行われた場所

そのような歴史を受けて、戦後、蔵前に国技館が作られました。日本でも珍しい本格的な大ホールでは、相撲に限らず、剣道・柔道、プロレスなどの「初公演」が行われました。東京メトロ浅草線・蔵前駅の南改札が大きいのは、当時の混雑緩和を図るためだったそうです。きっとすごい人出だったのでしょうね。

あの舞台も実は蔵前国技館

蔵前国技館は、意外なものの舞台にもなっています。映画「007は二度死ぬ」で、横綱・佐田の山とショーン・コネリー扮するジェームズ・ボンドが会談するシーンが有名です。また、大人気の漫画「あしたのジョー」でも、試合会場として描かれたことがあります。映画や漫画がお好きな方は、訪れる前にこれらの作品を予習してみても面白いかもしれません。

国技館跡地から見る、今の蔵前

跡地に立つ「蔵前水の館」

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数々の歴史を刻んできた蔵前国技館ですが、1984年の9月場所をもって閉館。その後解体され、現在その跡地には東京都下水道局の処理施設と、可愛らしい姿の「蔵前水の館」が建っています。ここがなかなか面白いスポットで、地下30mの水道施設が見学可能。地下へ降りる階段には横綱や大関など相撲の番付がついており、力士の手形など、大相撲に関する展示も見られます。見学希望の場合は1週間前までに電話にて予約が必要なため、前もって予定を立ててから訪れましょう。

蔵前水の館
【住所】東京都台東区蔵前2-1-8 北部下水道事務所敷地内
【開館時間】9:00~16:30
【定休日】土曜日曜祝日・年末年始
【公式サイト】http://www.gesui.metro.tokyo.jp/odekake/s_kuramae.htm

蔵前橋の欄干には、力士のレリーフ

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いろいろな人の夢や希望が詰まっていた蔵前国技館。かつての面影はありませんが、隅田川だけはずっと変わらない美しさでそばを流れています。蔵前橋の欄干には、相撲のメッカであったことを思わせる力士のレリーフが。きっとこれからも蔵前を訪れる人に、この街の歴史を静かに物語ってくれることでしょう。

蔵前から両国へ。江戸っ子気分で散歩しよう

江戸時代から、多くの人々の熱狂と歓喜を見続けてきた蔵前国技館。今は建物こそありませんが、その面影は街のいろいろなところに息づいています。ここから今の相撲のメッカ、両国国技館までは歩いて散歩するにもちょうどいいコース。キラキラと輝く水面が美しい隅田川を眺めながら、歴史を感じてみてはいかがでしょうか。

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