【吉祥寺】子どもも、大人も、本が好き。絵本の古本屋『Main Tent』

【吉祥寺】子どもも、大人も、本が好き。絵本の古本屋『Main Tent』

吉祥寺駅から歩いて10分。繁華街を抜けて住宅地にさしかかったところにある、ユニークな絵本屋さん『Main Tent(メインテント)』。2015年2月にオープンしたこのお店は、まるで絵本の世界に迷い込んだかのようなユニークな世界観が話題を呼んでいます。子どもも大人も魅了する『Main Tent』、その魅力についてオーナーのフランソワ・バチスト氏にお話を伺いました。

Main Tentとは

子どもも大人も楽しめる絵本の専門店

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『Main Tent』が絵本の古本屋としてオープンしたのは2015年2月。エンターテインメント(entertainment)のアナグラムで名付けられたという『Main Tent(メインテント)』は、その名にふさわしく、まさにワクワクするようなユニークな空間です。

実はオーナー業の傍ら、現役ダンサーの顔を持つフランソワ・バチスト氏。短期間で作って最終的に壊してしまう舞台セットに触れているうちに「ずっと残っていく世界を創りたい」と感じ、このお店を作ったといいます。

3,000冊以上の色とりどりの絵本と、懐かしい雑貨が並べられた店内。子どもはもちろん、非日常的な空間を楽しめる場所として、多くの大人たちに愛されているそうです。

「吉祥寺に絵本文化を残したい」

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20年以上、吉祥寺に住んでいるというフランソワ・バチスト氏。

「ここ数年で、吉祥寺の絵本屋さんが相次いで閉店してしまったんです。でも、吉祥寺には絵本の文化が根付いていた。そこで自分のお店を出そうと決心しました」

吉祥寺に住む人々に愛された絵本屋さんが惜しまれつつも減っていく中、オープンした『Main Tent』。ファミリー層が多く、絵本文化も根付いていた吉祥寺で、子どもたちのハートを掴むまでにそう時間はかからなかったようです。

絵本収集家がつくる世界

選び抜いた「本物の絵本」を子どもたちに届けたい

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『Main Tent』には、なんと3,000冊以上もの絵本が置かれています。

オーナーであるフランソワ・バチスト氏は、子どもの頃から絵本に囲まれて育ち、小学生の頃には年間700冊もの本を読んでいたのだとか。ものを集めるのが大好きだったことから、いつしか絵本も増えていき、お店ができるほどの大きなコレクションになったといいます。

心に、本という栄養を

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店内には、日本の絵本と海外の絵本がおよそ半分ずつの割合で並べられています。

「ここにあるのは、すべて『本物』の絵本。子どもだからこれくらいの絵や文章でいいや、といったものではなく、本気で子どもに向けて書かれた物語なんです」

フランソワ・バチスト氏によって、選び抜かれた「本物」の絵本とは、子どもの視線に真剣に向き合って書かれた絵本。そのような絵本だからこそ、子どもにしっかり伝わるんですね。

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「子どもの頃に読んだ絵本は、きっと何かしらの肥やしにはなる。読んだ次の日から真面目に宿題するようになる、といったような即効性はありませんが(笑)、植物の種のように、1,000粒撒いてそのうちの2,3粒がいつか芽を出すかもしれない。そんな栄養が含まれていると思うんですよ」

おもちゃやアニメも人気だけれど、パラパラとめくるだけで心にすっと染み込んでいく絵本は、感受性の豊かな子どもにとっていつの時代も欠かせないものなのかもしれません。

「あの本、なんだっけ?」を解決してくれる“怪盗Think Twice”

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ところで皆さんは、子どもの頃に読んで、タイトルを忘れてしまったけれど心に残っているという絵本はありませんか?

『Main Tent』には、そんなお悩みを解決してくれる親切なサービスがあります。その名も「怪盗Think Twice」。「こんなあらすじだった」というあいまいな記憶をお伝えすると、怪盗Think Twiceが絵本の行方を捜してくれます。

実際に、子どもの頃に読んだ物語の記憶をたどって「小さなおばさんと、ネズミが出てくる物語を教えてほしい」とお伝えすると、探していたのは『小さなスプーンおばさん』という絵本であることがわかりました。

帰宅してから読み返してみると、子どもの頃に読んだときとまた違った発見がたくさんあって、懐かしさと新鮮さで胸がいっぱいに。ずっとお探しの絵本がある方は、怪盗Think Twiceに相談してみてはいかがでしょうか。

床も、壁も、天井も。ワクワクが詰まったインテリアの数々

まるで絵本の世界に迷い込んだよう

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『Main Tent』のもうひとつの見どころは、絵本の世界に迷い込んだような個性的なインテリアの数々です。こちらは3匹のお猿さんが元気に店内を照らすシャンデリア。思わず見上げたくなる、愛らしいモチーフです。

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店内入り口の棚の引き出しを開けてみると、そこにはたくさんのおもちゃが。こちらは、実際にお子様が使って遊ぶことができるそうです。

実は、このおもちゃで一通り遊んでから、本を見始めるお子様がほとんどなのだとか。どこか懐かしいおもちゃに触れることができるのも、何度も通いたくなるポイントなのかもしれません。

また、絵本に出てくるような“Main Tentの住人”に会えるのも、このお店の魅力のひとつ。

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入り口で出迎えてくれるライオンの親子「ライオネル&リッチー」

カウンターの番人をしている、猫の「ヨジゲン」

カウンターの番人をしている、猫の「ヨジゲン」

天井から店内を見守る、オウムの「フリント」

天井から店内を見守る、オウムの「フリント」。フリントの長いしっぽのために、絵本棚には穴が開けられている

他にも、たくさんの住人が暮らしているそうです。絵本の世界観を演出する『Main Tent』の住人たち、それぞれが持つストーリーを想像したり、登場しそうな絵本を探してみたりするのも面白そうですね。

子どもの目線でしか見えない世界を、もっと楽しく

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店内には、子どもの目線を意識した演出もたくさん見られます。

こちらは大人の目線だとなかなか目に入らない、床に近い位置に並べられた絵本や雑貨。秘密基地のような雰囲気を醸し出していて、覗いてみるとワクワクしてきます。

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「レジの内側はあまり子どもに見せたい部分ではないので、あえてカウンターを高めに設定しているんですよ」

そんな優しい気遣いから設計されたレジカウンターには、ほかにも秘密の仕掛けがあります。

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それはカウンターの右下に設けられた、子どもが本を購入するときのための差し込み口です。ここから本を入れてお会計を済ませると、袋に入った本が出てきて、子ども自身が受け取ることができるのだとか。

「ものを買う」という、子どもにとってはちょっぴりドキドキする行為を、楽しく経験させてくれます。

吉祥寺の様子が描かれた絵画たち

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店内右手の壁には、バチスト氏とその妹・ましろさんの兄妹ユニット『よるのとびらをひらく方法』の絵が飾られています。

吉祥寺のハモニカ横丁や井の頭公園など、吉祥寺の様子がたくさん描かれており、見たことのある風景を見つけると、なんだか嬉しい気持ちになりました。

とても繊細なタッチで隅々まで描かれた絵画は、見応え抜群でずっと眺めていたくなるほど。お店のホームページからも閲覧できるので、ぜひチェックしてみてくださいね。

吉祥寺と絵本に共通する「ホッとする」安心感

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「吉祥寺は、おしゃれな街などとよく言われていますが、それよりも、昔ながらの雰囲気がまだまだ残っているところに“吉祥寺らしさ”を感じます。心の底からホッとできる雰囲気があるんですよね」

ホッとできる吉祥寺という街、そして同じ絵本を繰り返し読むことで得られる“安心感”。絵本を愛するフランソワ・バチスト氏が選んだ場所が、吉祥寺である理由が見えてきたような気がしました。

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「子どもにとっては、おもちゃやアニメはやっぱり魅力的。でも、それに飽きたときに本があるかないかで、違ってくると思うんです。何度も繰り返し読んだ絵本を手に取って、物語の中で冒険に出掛ける。そして必ず最後はおうちに帰ってくる。そんなストーリーを辿ることが、子どもにとって大切なんです」

安心できる暮らしがあるからこそ、昼間、家の外でがんばれる。それは、子どもにも大人にも共通して言えることなのかもしれません。

吉祥寺の街の一角にある、ユニークな絵本の古本屋『Main Tent』。絵本の販売だけではなく、買取も行っているそうです。お出かけの際、ご自宅に眠っている絵本があれば、持って行ってみてはいかがでしょうか。自分が愛した本がユニークな空間の一員となり、いつかまた別の子どもに読み継がれる……絵本を通して、そんなつながりが生まれるのも『Main Tent』ならでは。吉祥寺を訪れた際は、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

Main Tent (メインテント)

【住所】東京都武蔵野市吉祥寺本町2-7-3 フェリオ吉祥寺102
【電話番号】0422-27-6064
【営業時間】平日 10:30~17:00、土日祝日 10:30~19:00
【定休日】水曜日
【公式サイト】http://maintent-books.com/

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