マンションの寿命は何年?耐用年数との違いや建て替えの時期などを解説
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マンションを購入する際に、「何年くらい住めるのか」と気になる方も多いのではないでしょうか。そこで知っておきたいのが、マンションの寿命です。マンションの寿命について知識を得ることで、中古物件を選ぶ際の参考になります。
本記事では、マンションの寿命と耐用年数の違い、長く住める物件の選び方などを解説していきます。
目次
マンションの寿命と耐用年数の違いとは?
マンションの購入を検討する際に、建物の「寿命」と「耐用年数」という言葉を耳にすることがあると思います。マンションの寿命と耐用年数は、それぞれ意味や観点が異なるのです。
どのような違いがあるのか、詳しく解説します。
マンションの寿命
マンションの寿命がどれくらいかは、建物の構造や経済的な価値などの観点から考えられます。しかし、法律で明確に定められているわけではありません。国土交通省が発表している『中古住宅流通促進・活用に関する研究会』報告書には、RC系(鉄筋コンクリート)住宅の平均寿命は68年という計算結果があります。
さらに同報告書では、鉄筋コンクリート造の構造体の寿命は、建物の機能性の低下や経年劣化の観点から見ると117年、構造上の観点から見ると150年という見解も記されています。実際に110年以上も現役で活躍している鉄筋コンクリート造の「KN日本大通ビル」も実在するのです。
日本で鉄筋コンクリート造のマンションの建設が増えたのは1963年〜といわれています。まだ60年程度しか経過していないため、マンションの寿命の実態を把握するのは難しい状態です。
しかし、いくつかのポイントからマンションの寿命を推察できる場合もあります。
一般的には、建物の構造や経済的な観点から判断します。マンションの寿命と判断されるのは、主に以下の3つのようなケースです。
- 耐震基準を満たしていない場合
- 建て替え工事の費用と、修繕工事の費用がほぼ同額である場合
- 価値のある建物への建て替えに経済活動上のメリットがある場合
前述の通り、1960年代の建設ブームから60年ほどしか経っていないため、マンションの平均寿命は明確ではありません。しかし、建物の構造上の問題や経済的な価値に基づくと、寿命を迎えている場合はあり得ます。
マンションの法定耐用年数
耐用年数には、「法定」「構造」「経済的」など様々な種類があります。その中でも今回は、不動産の価値が維持できる期間を表す「法定耐用年数」にフォーカスして解説していきます。
法定耐用年数とは、資産価値を算定するための税務上の概念です。減価償却ができる期間でもあり、法定耐用年数が経過すると建物の税務上の資産価値がなくなるのです。
新築マンション(住宅用建物)の法定耐用年数は国税庁が定めています。また、中古マンションも同様に耐用年数の算出方法が定められています。以下にて、新築マンションの法定耐用年数と、中古マンションの耐用年数の算出方法をそれぞれ紹介しましょう。
住宅用建物の法定耐用年数
新築マンションを含む住宅用建物の法定耐用年数を、建物の構造別に紹介します。構造別の新築時の法定耐用年数は、以下のとおりです。
- 鉄骨鉄筋コンクリート造:47年
- 鉄筋コンクリート造:47年
- 石やレンガ造:38年
- 金属造(骨格材の肉厚が4mmを超える建物):34年
- 金属造(骨格材の肉厚が3mmを超えて4mm以下の建物):27年
- 金属造(骨格材の肉厚が3mm以下の建物):19年
- 木造:22年
(国税庁「耐用年数表」)
中古マンションの耐用年数を算出する際は、上記の新築物件の法定耐用年数を把握しておく必要があります。中古マンションを購入予定の方は、物件の法定耐用年数も確認しておきましょう。
中古マンションの耐用年数
中古マンションの場合、すでに経過した期間以降の「残りの使用可能期間」が耐用年数となります。
そのため、中古マンションの耐用年数の算出方法は、建物の築年数が新築時の法定耐用年数を超えているか、いないかによって異なります。
築年数が新築時の法定耐用年数を超えていない場合、以下の計算方法で建物の耐用年数を算出できます。
【(法定耐用年数-築年数)+築年数×0.2】
例えば、法定耐用年数が47年で築年数が10年の中古マンションの耐用年数は、【(47-10)+10×0.2】で39年となります。
次に、中古マンションの築年数が新築時の法定耐用年数を超えている場合の耐用年数の算出方法を紹介します。
築年数が法定耐用年数を超えている場合、建物の耐用年数は【法定耐用年数×0.2】で算出できます。
ただし、1年未満の端数は切り捨ててください。
マンションの建て替え寿命
続いて、マンションはいつ建て替え寿命が訪れるのか解説したうえで、マンションを建て替える主な理由を3つ紹介します。
建て替え寿命とは?
マンションの「建て替え寿命」とは、使用期間にかかわらず何らかの理由によって建物が維持できなくなった場合に用いられる目安です。一方、マンションの「寿命」は構造上や経済的な観点から見た建物の使用期間のこと。また、「耐用年数」とは建物の資産価値が維持できる期間を指します。
マンションをそのまま維持することで物理的な不具合や事故が生じる可能性がある場合は、建て替え寿命がきたと言えるでしょう。
ただし、マンションの建て替えが必要になる時期はそれぞれ異なるため、築年数だけで決まるものではありません。
マンションを建て替える主な理由は3つ
建て替えを実際に行ったマンションは日本国内で極めて少なく、「建て替え寿命」や「理由」を実績から語ることはできませんが、マンションを建て替える理由として考えられる3つを解説していきます。
1.耐震基準が満たされていない場合
地震に対する安全性が不足している場合、マンションが建て替えとなるケースがあります。そのため、耐震基準が満たされていないマンションは、建物の耐用年数よりも早く建て替えとなる可能性があるのです。
2023年の時点で築年数が40年以下のマンションのほとんどは、1981年6月1日に導入された「新耐震基準」で施工されています。しかし、それ以前は「旧耐震基準」で施工されていました。
「旧耐震基準」では、震度5弱程度の揺れに耐え得ることが基準となっていましたが、「新耐震基準」では、震度6強から7までの揺れが発生しても、倒壊の危険がないように建設するよう規定されています。そのため新耐震基準を満たすための耐震補強工事や建て替えを行うケースがあります。
2.耐火性能が不十分な場合
建築基準法は度々改正されており、現行の条例が制定されるよりも前に建設された建物が耐火構造ではない場合があります。そのため、耐火性能が低いマンションは建て替えになる場合もあります。特に、防火地域と準防火地域に建っているマンションは注意が必要です。
防火地域は、火災防止のため特に厳しい建築制限が設けられています。建物の「延べ床面積」や「階数」によって定められた耐火性能を備えておく必要があります。また、準防火地域においても延焼を防ぐため、同様に高い耐火性能が求められます。
3.給水・排水管の劣化により漏水事故が発生した場合
マンションの給水・排水管の劣化によって漏水事故が発生した場合、修繕や建て替えを検討することがあります。給水・排水管はマンションの建物内部に設置されている場合がほとんどで、なかには修繕が難しいケースもあります。そのような場合には、マンションの建て替えが検討されることになります。
マンションの寿命が決まる要素
マンションの建物の寿命が決まる要素を3つ解説していきます。購入する予定の中古マンションの寿命に影響する要素を、こちらでチェックしてみてください。
1.管理状態
マンションの寿命には、管理状態が大きく影響するのです。築古マンションのなかには、長期修繕計画が作成されておらず、修繕が適切に行われていない物件も存在します。そのような場合、マンションの管理状態は悪く、寿命が短くなる要因となります。
2.立地
マンションの立地状況によっても、建物の寿命は左右されます。例えば、地盤が弱い土地にマンションが建っている場合、地震が発生すると傾いたり倒壊したりするリスクが高くなります。そのため、耐用年数より早い時期に寿命が来ることが考えられます。
また、海岸沿いにあるマンションの場合、塩害によって鉄筋が腐食して建物の寿命が短くなるケースもあります。
3.建材の質
マンションの建設時に使用された建材の質によっても、建物の寿命は変わってきます。
品質の低い建材で建てられたマンションの寿命は、一般的なものよりも短くなってしまうでしょう。
なお、マンションに使用されている建材は、「建築確認済証」でチェックできます。建築確認とは、マンションが建築基準法を順守して建設されているかを確認するために行われる検査です。
寿命が長いマンションを選ぶ方法
中古マンションを購入する際は、できるだけ寿命が長いマンションを選びたいと思うはずです。長く住めるマンションはどう選べばいいか、見極めるためのポイントを3つ紹介していきます。
1.管理状態をチェックする
中古マンションを購入する際は、建物の管理状態をチェックしましょう。マンションの内覧をした際は、ゴミ捨て場や駐輪場、キッズスペースなどの共用部分がきちんと清掃されているかもチェックしてみてください。敷地内の植栽などからも、日頃の管理状態が感じ取れます。
2.大規模修繕が適切に実施されているか確認する
マンションの大規模修繕が適切に実施されているか、確認してみましょう。大規模修繕とは、およそ10〜15年に一度行われるマンションの修繕工事です。主に、外壁塗装や防水工事などが行われます。
修繕工事を実施する主な目的は、劣化箇所の修繕と資産価値の維持・向上です。定期的に補修と機能性を維持するための工事を行うので、マンションの寿命は長くなると言えます。
また、適切に大規模修繕が行われているマンションは安心して暮らしていけます。さらに、居住者のニーズに合った工事が行われるため、将来的に建物の設備の機能性がグレードアップする場合もあります。
そのため、中古マンションを購入する際は、大規模修繕が適切に計画・実施されている物件を選ぶのがおすすめです。
3.住宅診断を行う
中古マンションを購入する際、住宅診断(ホームインスペクション:住宅に精通したプロによる診断)を行うと、建物の今の状態を把握することができます。目視では確認できない部分まで詳しく分かり、購入の判断がしやすくなります。
そのほか、天井裏の状態や共用部の維持管理など、物件購入やリノベーションを行ううえで把握しておきたい情報を得られます。
中古物件の住宅診断にかかる費用相場は、およそ5万円です。費用はかかりますが、千万単位のお金が必要となる中古マンションの購入で失敗しないためにも、住宅診断を行い、寿命が長いマンションを選べると安心です。
まとめ
マンションの寿命は100年を超えることもあります。法定耐用年数よりもかなり長いですが、管理状態や立地などの条件によっては建物の寿命が短くなることもあります。寿命が長いマンションを選ぶためには、管理状態を確認したり、住宅診断を行う方法があります。マンション購入の際に参考にしてみてください。
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筆者
リノベる。JOURNAL編集部
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