住宅ローンの仮審査(事前審査)とは?審査基準や通過するためのポイントを解説

住宅ローンの仮審査(事前審査)とは?審査基準や通過するためのポイントを解説
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住宅ローンの仮審査(事前審査)とはどのようなものかご紹介します。気になる審査基準や、落ちる原因、そして通過するために知っておきたいポイントを解説します。

目次

住宅ローンの仮審査(事前審査)とは?

住宅ローンの仮審査(事前審査)は、住宅ローンに正式に申し込む前に、申込者の信用情報や返済能力などを限定された情報から短期間で判断する審査のことです。書類で申し込む方法のほか、インターネットで申し込みが可能な金融機関もあります。仮審査に通ると、本審査に進むことができ、より詳細な資料によって審査が行われます。

 本審査の際には、銀行や提携している保証会社が一緒になって、提出された書類に基づきくわしく調査を行います。審査基準は金融機関によって異なるものの、一般的には物件の担保評価や勤続年数、団体信用生命保険に加入できる健康状態であるかどうかなども確認されます。

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仮審査をする目的

本審査をする前に仮審査を行うのは、ローンを申し込んだ人の返済能力や購入物件の担保価値を見極める目的によるものです。物件の売買契約の前に申し込めることから「どのくらいローンを借りることができるか」「本当に住宅ローンを借りることができるか」の確認もすることができます。

審査の際に金融機関側が重要視するのは返済能力です。住宅ローンを貸し付けた場合に、安定して返済を続けられるか、完済時の年齢や勤続年数、雇用形態などもチェックされます。また、金融機関から融資の仮審査での承認を得なければ契約が無効になるという条項があります。仮審査に通過しなければ物件の正式な売買契約に進めないこともあります。

グレー系の色でまとめられたリビング

住宅ローン審査の流れ

住宅ローンの審査は、一般的には以下のように進んでいきます。

  1. 事前申し込み
  2. 仮審査(事前審査)
  3. 正式申し込み
  4. 本審査
  5. 契約
  6. 借入れ

 住宅ローンの仮審査の申し込みから借入れまでは、金融機関によりますが1か月半程度を見込んでおきましょう。仮審査の結果がわかるのは1週間が目安ですが、金融機関によっては1、2日程度でわかることもあります。また、ローン返済の延滞など信用情報に問題がある場合は、融資が受けられないことがすぐにわかることもあります。

仮審査が通り、正式に申し込みして本審査の結果がわかるのは、1〜2週間程度です。フラット35は担保評価に時間がかかるので2週間ほど見ておくとよいでしょう。

住宅ローンの審査のイメージ

仮審査の基準

仮審査の基準は金融機関によって異なります。しかし国土交通省から発表されている「令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」の結果によると、多くの金融機関では以下の項目が重要視されていることが分かります。

  •  完済時年齢(99.1%)
  •  健康状態(98.2%)
  •  担保評価(98.2%)
  •  借入時年齢(97.8%)
  •  年収(95.7%)

住宅ローンは長期間に渡って返済していくように組むことが多くありますが、ほとんどの金融機関では80歳までに完済できることを条件にしています。借入れ時の年齢が35歳で、返済期間35年の住宅ローンを組むと70歳で完済することになります。この間、問題なく支払っていくことができるかどうかが審査されます。

また健康状態も審査に影響を与えます。住宅ローンを契約する際は団体信用生命保険への加入が必須ですが、健康状態が良くないとこの団体信用生命保険に加入できません。もちろん、物件の担保評価も重視されます。債務者が住宅ローンの返済ができない状態になった場合、金融機関は担保となっている不動産を売却することで融資したお金を回収します。そのため担保評価が低い場合には、審査が不利になると考えられるでしょう。

家と電卓

住宅ローンの仮審査に必要な書類

住宅ローンの仮審査に必要となる書類をご紹介します。ただし、必要書類は金融機関によって異なるので、必ず申込予定の金融機関に確認するようにしてください。ネット銀行は仮審査の結果が早く出ることもあります。その後の手続きがスムーズに進めるため、必要書類は事前に用意しておくと良いでしょう。ただしネット銀行の中には、仮審査の段階で書類提出を求めない場合もあります。

本人確認書類

本人確認書類は、運転免許証や健康保険証、パスポートなどです。いずれかひとつを準備するようにしましょう。

収入確認書類

収入確認書類は、個人事業主であれば確定申告書の控えや納税証明書を、法人代表者であれば決算報告書などが必要になります。個人事業主や法人代表の場合には、納税証明書を準備しておくと安心でしょう。給与所得者の場合には、前年の源泉徴収票、住民税決定通知書、課税証明書などを準備するとよいでしょう。

物件確認書類

物件確認書類は、購入予定物件の広告チラシや間取り図、土地の所在地の資料、建設費などがわかる見積書などです。中古物件であれば、土地と建物の登記簿謄本(登記事項証明書)を準備しましょう。

そのほか

新規に住宅ローンを借りるのではなく、住宅ローンを借り換えることもあるでしょう。金利が高い状態で住宅ローンを組んでいたものの、金利情勢の変化によって金利が低くなった場合に住宅ローンを借り換えることで毎月の返済額や総返済額を減らすこともできます。住宅ローン借り換えの場合には、借入状況の確認書類として償還予定表や残高証明書、返済用口座の通帳、インターネットバンキングの取引画面の写しなどが必要となります。

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住宅ローンの仮審査に落ちる原因

審査基準を満たしているにも関わらず、住宅ローンの仮審査で落ちることもあります。その原因についてご紹介します。

ケース1:信用情報のブラックリストに載っている場合

金融機関やクレジット会社等が作っている信用情報機関では、借入の申込や契約内容などに関する情報を管理しています。この信用情報を共有することにより多重債務者などを防いでいますが、以下のような行動に心当たりがある場合には、注意が必要です。2~3ヶ月以上返済や支払いの延滞をすると信用情報に傷がつき、ブラックリストに載っている可能性があるからです。

  • クレジットカードの支払いや奨学金の返済の遅れ
  • 分割払いで購入したスマホの支払い滞納

もし、住宅ローンの仮審査をするタイミングでブラックリストに登録されている場合には、審査に通らない可能性があります。

ケース2:返済中のローンがある場合

住宅ローンの仮審査では返済負担率も審査対象になります。返済負担率とは年収に占める年間返済額の割合で、基準は金融機関により異なるものの一般的には20~35%程度になっています。住宅ローンの借り入れ額が返済負担率を超えていない場合でも、返済中の別のローンがある場合には要注意です。以下のようなローンも合わせて返済負担率が計算されるからです。

  • マイカーローン
  • 教育ローン
  • クレジットカードのローン
  • リボ払い
  • 奨学金

住宅ローンの仮審査を受ける前に、可能であれば返済中のローンを完済するのもよいでしょう。また、融資実行までに完済することを条件に審査に通ることもあるため、返済中のローンがある場合には相談しておくのもおすすめです。金融機関によっては、返済中の奨学金を含めない場合もありますので、確認するとよいでしょう。

住宅ローンのイメージ

住宅ローンの仮審査を通過するために知っておきたいポイント

住宅ローンの仮審査を申し込む前に知っておきたいポイントをご紹介します。

複数の金融機関に申し込む

住宅ローンの仮審査は、ひとつの金融機関に絞る必要はありません。ご紹介したように、返済負担率に奨学金は含めないなど、金融機関ごとに審査基準は異なります。また仮審査は、審査に通過しても必ず本審査に進まなければいけないものではありません。仮審査や本審査に落ちる可能性も想定して、複数の金融機関に申し込む方法もあります。

ほかのローンがある場合はなるべく完済しておく

返済中のローンがある場合には、可能であれば、完済してから住宅ローンの仮審査に挑むのがおすすめです。車のローンや教育ローンなど、住宅ローン以外のローンであっても返済負担率の計算に含まれ不利になります。総返済負担率は金融機関によって異なりますが、理想とする総返済負担率は、年収の20%以下とされています。

転職や独立をするタイミングに注意する

長期間に渡り、貸し付けをおこなう住宅ローンでは、延滞することなく返済していけるかを重視して審査を実施しています。そのため、勤続年数は住宅ローンの返済能力を評価する重要な指標です。もし転職や独立を考えている場合は、優先度を考えたうえで、適切なタイミングで行うのがよいでしょう。

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まとめ

住宅ローンの仮審査についてご紹介しました。仮審査は正式な申し込み前に、申込者の信用情報や返済能力などを短期間で判断するために行われます。ブラックリストに載っていたり、返済中のローンがあって総返済負担率を超えてしまっていたりすると、通過できないこともあるので注意してください。仮審査では本人確認書類や収入確認書類、物件確認書類などが求められます。

ただしネット銀行では、仮審査の段階で書類提出を求められない場合もあるでしょう。なお、住宅ローンの借り換えでは必要書類が異なりますので、事前に金融機関のホームページなどで確認しておくと安心です。ぜひ今回ご紹介した内容を参考に、仮審査に向けて準備を進めてみてください。

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