ヌックとは?メリット・デメリット、取り入れる際のポイントを紹介
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本を読んだり、お昼寝をしたり、さまざまな使い方ができるこぢんまりとした空間、ヌック。昨今おうちで過ごす時間が増えたことから、「居心地のよいおこもり空間」を求める声が高まり、ヌックに注目が集まっています。 本記事では、そんなヌックを住まいのなかに取り入れたいと考えている人に向けて、ヌックの定義やメリット・デメリット、取り入れるときのポイントについてくわしく解説します。
※最下部にある「費用情報に関するご注意事項」をお読みください。
目次
ヌックの定義とは?
ヌックとは、「こぢんまりとして居心地のよい空間」のことです。スコットランドの「neuk(ヌーク)」が語源と言われており、「温かくて心地のよい場所」という意味があります。 ヌックの広さは2~3畳ほどで「お部屋未満」のこぢんまりとした空間でつくるのが一般的です。壁やドアで仕切らず、段差や素材の違いなどでゆるやかにゾーニングします。個室ではないので、ファミリー世帯であれば、家族みんながフレキシブルに使えるのが特徴です。 コロナ禍によって家で過ごす時間が増加した昨今、「広々としたLDKで家族と過ごすのもよいけれど、こぢんまりとした空間でひとりの時間も楽しみたい」というニーズからヌックに注目が集まっています。
ヌックを取り入れるメリット
ヌックはさまざまな目的で使える空間です。まずは、ヌックを取り入れることで得られるメリットを見てみましょう。
家族とつながりを持ちつつ、ひとりの時間を楽しめる
ヌックがあれば、家族の気配を感じながらひとりの時間を楽しめます。家族がリビングでテレビを見ているときにヌックで読書をしたり、ゲームやパソコン作業に没頭したりと、ほどよい距離を保ちながら好きなことに集中できるでしょう。 幼いころ、押入れの中などの狭い空間を秘密基地のようにして遊んだ経験がある方は多いのではないでしょうか。狭い空間にいると守られている感覚を覚えたり、好奇心が湧いてワクワクしたりします。狭いヌックも同様に、居心地がよく自分だけの時間を過ごせるのが特徴です。 また、子供部屋や書斎のように個室になっていないので誰かの専用のスペースになりにくく、家族みんなで気軽に使えます。リビングや廊下などパブリックな空間に設ければ、それぞれが好きなときに好きな用途で使えます。
空間にメリハリが生まれる
ヌックがあることで空間に立体的なメリハリが生まれます。のっぺりしがちな広いリビングでも、一角に小さな小上がりやベンチを設けたヌックをつくれば、立体感が出ます。日本ではヌックがある家は珍しいので、個性的で洗練された印象を与えることもできるでしょう。 家具や小物で空間を演出するのもよいですが、ヌックなら圧迫感を出さずにメリハリを出せます。デザインによっては視覚効果でお部屋が広く見えることもあります。
書斎やキッズスペースなどさまざまな目的で使える
ヌックはさまざまな目的で使えます。たとえば、造作のデスクがあればテレワークスペースや書斎、趣味のスペースになります。こぢんまりとした空間は落ち着いて集中できるでしょう。 また、リビングの一角にヌックをつくればキッズスペースに最適です。洞穴や秘密基地のような空間は、子供の好奇心をかき立てます。LDKから見守れるので、小さな子供がいる方も安心です。ほかにも、ベンチを設置してコミュニケーションスペースにしたり、読書に集中するリーディングヌックにしたりと、フレキシブルに使えるでしょう。
ヌックを取り入れるデメリット
ヌックを検討するときには、メリットだけでなくデメリットも把握しておく必要があります。ヌックを取り入れることで次のようなデメリットが生じるでしょう。
費用がかかる
ヌックを取り入れるには相応の費用がかかります。追加になるのは、工事費や材料費です。ベンチやデスクをつける程度ならお手ごろに取り入れられますが、間仕切りの壁をつけたり小上がりにしたりすると費用は高くなります。 居心地のよいヌックをつくるためには、換気設備や空調設備、採光窓、照明などの設備も必要です。リーディングヌックや趣味のスペースとして使うのであれば、デスクや本棚などの造作家具を設置する費用もかかる場合があります。 費用とのバランスを見て、本当にヌックが必要か見極めてから取り入れるようにしましょう。
面積が必要
ヌックを取り入れることで、居室が狭くなったり収納が足りなくなったりする場合があります。デッドスペースをヌックにするのであれば問題ありませんが、そうでない場合はそのための面積が追加で必要になります。 間取りを考えるときには家全体のバランスを見て、ヌックをつくることで居室が窮屈にならないか、収納にする必要はないかを確認するようにしましょう。 面積に余裕がない場合は、階段下や廊下などデッドスペースになりがちな箇所を有効活用してヌックをつくるのがおすすめです。居心地のよいと感じられるヌックの広さは2~3畳が目安ですが、それよりも狭くなってしまうのであれば、家具を置かずにシンプルな空間にすると使い勝手がよくなります。
快適なヌックを取り入れるのにおすすめの箇所
ヌックを取り入れるパターンは、「家族の共有スペースの一角」もしくは「個人スペースの一角」です。共有スペースならみんなで使えるフレキシブルなスペースに、個人スペースなら秘密基地のようなおこもり空間になります。ここからは快適なヌックを取り入れるのにおすすめの箇所をご紹介します。
LDKの一角
ファミリー世帯の場合、家族が一番長く過ごすLDKにヌックをつくれば、お互いの気配を感じながらそれぞれの時間を楽しむことができます。たとえば、LDKの一角をヌックにすれば、ひとりでくつろぐときも、家族とコミュニケーションをとるときも使えるフレキシブルな空間になります。床を上げてベンチにすると、その一角が別の空間になり奥行きも生まれます。 また、LDKの一角に小上がりを設けたり、間仕切り付きのヌックをつくるのもおすすめです。空間にメリハリができて洗練された雰囲気を演出できます。LDKから子供が遊んでいるのを見守れるのでキッズスペースにもピッタリです。
階段下
デッドスペースになりがちな階段下をヌックにすれば、空間を有効活用できます。階段下を活用するときには収納やトイレとして使うのが一般的ですが、ヌックにすれば「過ごす場所」になります。階段下は天井が低いため、洞穴のようなおこもり感を演出できるのも魅力です。 本棚を設けてリーディングヌックにしたり、デスクを配置してワークスペースにしたり、秘密基地のようなキッズスペースにしたりするのもよいでしょう。階段下は周りから見えにくいので、壁紙で遊んでみたりコレクションを並べたり、趣味を前面に出した空間にすることもできます。
廊下
廊下にヌックを設ければ、「通り過ぎる場所」を「過ごす場所」として有効活用できます。頻繁に家族が通る場所でなければ、静かでプライベート感もあり集中しやすい空間になります。 あまり幅のない廊下にヌックをつくるのであれば、空間を仕切るのではなくベンチやデスクを設けるのがおすすめです。ベンチと本棚をつければ子供と並んで本を読めるリーディングヌックになります。長いデスクがあれば、子供が並んで宿題をするワークスペースとしても役立ちます。ひとりでも家族とでも使いやすいのが廊下のヌックの特徴です。
子供部屋
LDKや廊下など共有スペースにヌックをつくって家族で使うのもよいですが、子供部屋に秘密基地のようなヌックをつくるのもおすすめです。自分だけの小さなスペースは子供の好奇心をかき立てます。「ヌックではおもちゃを散らかしてもOK」というようなルールを決めれば、思い切り遊ぶことができ、片付けもスムーズです。 コンパクトな子供部屋にヌックをつくるなら、一角をベンチにしたり、壁をくりぬいてデスクをつけ、ワークスペースにしたりするのもよいでしょう。
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家族のアトリエから広がるコミュニティ
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ヌックを取り入れる際のポイント
ヌックをせっかく取り入れても、サイズや設備の選び方などポイントを把握したうえで設置しなければ、使い勝手が悪くデッドスペースになってしまうことがあります。ここからは、ヌックを取り入れるときに知っておきたいポイントをご紹介します。
どのように過ごすか具体的にイメージしておく
ヌックを取り入れるときには、「誰が、どんなときに、どのように過ごすか」を具体的にイメージすることが大切です。しっかりと考えずにヌックをつくってしまうと、ただの物置きになってしまう可能性があります。具体的にイメージすることで、「どこにヌックがあるとよいか」「どのようなデザインのヌックがよいか」「どのような家具や設備が必要か」が見えてくるはずです。 ヌックありきで間取りを考えるのではなく、「どのように過ごしたいか」という考えをベースにヌックをつくると居心地のよいスペースになります。
メリハリをつけて別空間として認識させる
ヌックを取り入れるときには、周りの空間とつながりを持ちながらも、別空間だと認識できるようにすることが大切です。個室のように壁や扉でかっちりと仕切るのではなく、ゆるやかにゾーニングすることで、閉鎖的ではないおこもり空間を演出できます。 具体的には、小上がりやスキップフロア(ひとつの階層に複数の高さのフロアを設けた間取り)にして床の段差をつけたり、ヌックだけ床材や壁の色を変えたりする方法があります。天井を周りの高さよりも低くして、入口をアーチや三角にしたりするとデザイン性あふれる空間になります。つながりを持ちつつも、ハッキリと周りと違いをつけるのがポイントです。
落ち着くこぢんまりとしたサイズにする
居心地のよいヌックをつくるには、広さが重要です。ヌックはあまり広すぎないほうが落ち着いて集中できる空間になります。居心地がよいと感じる広さは人それぞれであるため、「〇畳あればいい」と一概には言えませんが、2~3畳が広さの目安と考えるのがよいでしょう。秘密基地のようなこもれる空間が理想です。欲張って広くすると、中途半端で使い勝手の悪い空間になってしまうので気を付けましょう。 インターネットや雑誌などで自分が理想とするヌックの画像を集めておくと、間取りを決めるときに担当者とイメージを共有しやすくなります。
照明で落ち着いた雰囲気をつくる
こもりたくなる落ち着いた雰囲気を演出するなら、照明選びも大切です。ヌックの照明は周りの部屋や居室より少し暗めにしましょう。小さなペンダントライトや床置きの間接照明などを使い、照明の位置を低くすることで落ち着いたムーディーな雰囲気になります。ヌック全体を明るく照らすのではなく、本を読むときに手元が明るくなるくらいが理想です。 光の色は蛍光灯のような白っぽい色より、温かみのある暖色系のほうがヌックの空間にはマッチします。光の明るさや色味に変化をつけて、空間をゾーニングすることも可能です。
まとめ
こぢんまりとした空間で多様な使い方ができるヌック。家族とつながりながらひとりの時間を過ごせたり、個性的で洗練された雰囲気を演出したりとさまざまなメリットがあります。 住宅購入等でヌックを本格的に取り入れる場合、新築の注文住宅だけでなく、中古物件を購入してリノベーションする方法もあります。住宅購入費用を抑えたい方は後者の方法を選択肢として検討するとよいでしょう。今回ご紹介したポイントを参考に、理想の住まいを手に入れてください。
費用情報に関するご注意事項
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