コンサバトリーとは?設置するメリット・デメリットと活用方法を紹介

「コンサバトリー」という生活空間をご存じでしょうか?屋内と屋外をつなぐ中間部分として、ヨーロッパをはじめ世界中で採用されている伝統ある建築様式です。今回の記事では、コンサバトリーの概要や歴史をはじめ、代表的な建築スタイル、活用方法などをわかりやすく解説。また、コンサバトリーを設置する際の主な注意点もお伝えします。
コンサバトリーとは?
コンサバトリー(Conservatory)とは、屋根や壁面がガラス張りになっている、多目的スペースのことです。語源は「conserve(保存する)」からきており、ガーデニングが盛んなイギリスの伝統的な住宅スタイルといわれています。歴史は18世紀まで遡り、当初は南国から持ち帰った果物を保管する貯蔵庫でしたが、機能性の高さから次第に植物を育てる温室として活用されるようになりました。現在では「屋内と庭をつなぐ中間エリア」と広く解釈され、世界中で取り入れられている生活空間となっています。
コンサバトリーの代表的なスタイル
コンサバトリーは、もともと「植物や果物の生育・保存」を目的とした空間です。その外観は、各時代の建築様式を色濃く反映させたつくりになっています。ここからは、コンサバトリーの王道ともいえる、本場イギリスの代表的なスタイルを見ていきましょう。
スタイル1:ジョージアン様式
18~19世紀中頃のジョージ王朝時代を発祥とするコンサバトリーが、ジョージアン様式です。建物の正面が多角形の5面でつくられているため、視界が広くとれ、ゆったりとお庭の風景を楽しむことができます。
スタイル2:ヴィクトリアン様式
コンサバトリーの本場イギリスで、最もポピュラーといわれるヴィクトリアン様式。19世紀中頃~20世紀初頭の、ヴィクトリア王朝時代が発祥です。多角構造の独特な建築様式が、優雅さ、気品、美しさを醸し出します。また、屋根の骨組みが多いことから、強度に優れたところも特徴のひとつです。
スタイル3:エドワーディアン様式
エドワーディアン様式は、四方の壁面がガラス張りになっていることから、開放感を味わえる四角形のコンサバトリーです。20世紀初頭のエドワード王朝時代が発祥であり、空間を無駄なく使える合理性とバランスのよさが、大きな特徴に挙げられます。日本家屋に見られる「寄棟屋根(よせむねやね)」に似たデザインです。
スタイル4:リーントゥモデル様式
片流れの屋根と四角形の構造からなる伝統的なリーントゥモデル様式は、コンサバトリーの原点ともいえる温室としてつくられました。コンサバトリーの中はとてもシンプルなつくりになっているため、どんな住宅でも採用できる汎用性を持っています。
コンサバトリーの活用方法
現在のコンサバトリーは、さまざまな用途に利用されている居住空間の一部です。本来の目的である温室や貯蔵庫以外に、どのような使われ方をしているのでしょうか?ここからは、コンサバトリーの活用方法をご紹介します。
活用方法1:ガーデニングスペース
コンサバトリーは、ガーデニングスペースとしての活用が人気です。屋根や壁面がガラス張りになっているため、日照時間の短い冬場でも、自然光をたっぷりと取り入れることができます。この機能性から、植物を育てる温室としてはもちろん、果物の貯蔵庫、ガーデニング用品の倉庫として利用が可能です。
活用方法2:LDKの拡張スペース
屋内と屋外をつなぐ中間点になるため、リビングやダイニング、キッチンの拡張スペースとしても活用することができます。LDKの拡張スペースとしていかすことで、室内の生活空間が広がり、作業・収納スペースの確保や室外へのスムーズな移動といった利便性が高まります。
活用方法3:多目的空間
パーティーやお茶を楽しむ、憩いの時間を満喫する、趣味に興じるなど、多目的にコンサバトリーを活用できます。また、仕事部屋や子どもの遊び場、雨天や梅雨時期に洗濯物を干す場所などにも適しています。それぞれの生活スタイルやアイデアにより、使い方も無限に広がることでしょう。
コンサバトリーの費用の相場
コンサバトリーの設置で気になるのが、費用の相場です。当然のことながら、選ぶタイプ、サイズ、オプションなどにより、価格は大きく異なります。一般的に費用相場は、150~300万円ほど。この価格帯のコンサバトリーに人気が集まる傾向があるようです。部屋をひとつ増築するようなつくりになることを考えれば、比較的安価な費用といえるかもしれません。建築構造によっては、固定資産税の課税が義務付けられることもあります。
コンサバトリーを設置する際の注意点
多目的空間としても使える魅力的なコンサバトリーですが、構造や性質上、いくつかのデメリットが考えられます。ここからは、コンサバトリーを設置する際に知っておきたい、注意点や対策方法を見ていきましょう。
注意点1:季節ごとの温度管理
屋根や壁面がガラス張りのコンサバトリーは、直射日光を採り込みやすいことから、夏になると室内の温度が上昇してしまいます。冬の場合、熱伝導の働きにより、外の冷たい空気が窓から室内に伝わり、暖房が効きづらくなりがちです。このように、外気の影響を受けやすいことが、コンサバトリーのデメリットに挙げられます。対策として、季節ごとの温度管理への配慮が必要になります。コンサバトリーを設置する際には、断熱性能の高いガラスや気密性能に優れた窓枠を選びましょう。また、設置する空調機器の機能性や、室内を抜ける風の通り道を考えたレイアウト、こまめな換気なども大事になってきます。
注意点2:こまめなメンテナンス
コンサバトリーは、屋根や壁面がガラス張りになっていることから、メンテナンスや見た目にも注意しなければなりません。日頃から外観を損ねないように、こまめな清掃や整理整頓が必要になります。また、本格的な清掃や補修をおこなう場合、専門業者に依頼することも選択肢に入れるといいかもしれません。
注意点3:プライバシーの保護と対策
コンサバトリーを設置する際は、周辺環境に配慮することも注意点のひとつです。屋根や壁面がガラス張りになっているため、解放感を得られる半面、室内を外部にさらしてしまう可能性も。プライバシー保護のために、ルーバーやカーテン、ブラインドなどの設置がおすすめです。
まとめ
ジョージアン、ヴィクトリアン、エドワーディアンなどの建築様式に代表されるコンサバトリーは、歴史と風格を感じさせる魅力的な空間として人気です。もともとは、植物や果物を育てるための温室だったコンサバトリー。現在では「屋内と庭をつなぐ中間部分」「多目的空間」など、広い定義で使われるようになっています。ガーデニングスペースはもとより、LDKの拡張空間、パーティールームなど、その活用方法は多岐にわたります。温度管理やメンテナンス、プライバシーの保護に注意しながら、コンサバトリーで理想の空間を作ってみてはいかがでしょうか。