レトロモダンなインテリアとは?メリットや取り入れる際のポイントを紹介
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個性的でありながら洗練された印象の空間を実現できる、レトロモダン。本記事ではレトロモダンの家にしたいと考えている方向けに、レトロモダンの定義や特徴、取り入れる際のポイントをご紹介します。
目次
レトロモダンとは?
レトロモダンとは、懐かしさを感じる古風な雰囲気のなかに近代的・現代的な要素を感じられるインテリアデザインのことです。古い家具のなかには現代でも価値が高く、洗練された印象をもたらしてくれるものがあります。レトロモダンはこのような古いものを活かしながら現代的な要素を融合し、お互いを引き立て合うのが特徴のインテリアテイストです。 レトロモダンのインテリアは、「レトロ」と「モダン」どちらに重きを置くかによって雰囲気が変わります。レトロをメインとするのであれば、昔ながらの住宅に現代的な設備や家具、小物を合わせることが多くあります。近年流行している「古民家リノベ」もこちらのパターンに該当することが多いでしょう。一方、モダンをメインにするのであれば、現代的な機能やデザインの空間に、古き時代の家具や小物を合わせます。
代表的な3つのタイプのレトロモダン
レトロモダンのテイストは、国や地域で少しずつ変わります。これは歴史や文化などの地域性の違いが表れるためです。インテリアにおけるレトロモダンは、懐かしさを感じさせるのが特徴なので、国や地域によって雰囲気が異なります。代表的な3つのタイプのレトロモダンについてご紹介します。
古民家の雰囲気がある日本のレトロモダン
日本のレトロモダンとは、大正や昭和初期を彷彿とさせる、どこか懐かしさのあるインテリアのテイストです。古民家リノベーションのように、古い住宅を活かしながらモダンな機能やデザインを取り入れます。 日本のレトロモダンの特徴は、柱やドアなど古い素材をそのまま活かすことです。天井を梁あらわしにする手法もよく使われます。タンスやガラス棚、照明など、古いながらも洗練された印象の家具や小物を取り入れます。インテリアはダークブラウンなど落ち着いた色味の木材を使用し、モダンな雰囲気と融合させるのも特徴です。
男前な雰囲気があるアメリカのレトロモダン
アメリカのレトロモダンは、日本のものとはテイストが異なります。工業の歴史が反映され、真鍮(しんちゅう/銅と亜鉛の合金)やアイアン、革張りなど男前な雰囲気がある素材を取り入れるのが特徴です。20世紀半ばの歴史を反映したそのテイストは「ミッドセンチュリー」とも呼ばれます。 当時ブームになったポップアートやミニマルアートから影響を受けており、シンプルで直線的なデザインではなく個性的で曲線的なデザイン、赤などポップな色をアクセントに取り入れます。
上品な雰囲気があるヨーロッパのレトロモダン
ヨーロッパのレトロモダンは、曲線的なデザインの家具やシャンデリアなど、上品で優雅な雰囲気があるのが特徴です。教会を彷彿とさせるアイテムも多く、ステンドグラスをドアや装飾に取り入れることもあります。 また、木の素材を取り入れるのも特徴です。家具やドアにダークブラウンなど濃い色の木材を使い、クラシカルな雰囲気を演出します。家具はヨーロッパのアンティーク家具を取り入れることもあります。
レトロモダンのインテリアにするメリット
どこか懐かしく、落ち着いた雰囲気のあるレトロモダンのインテリア。個性的でありながら洗練された印象の空間にできるのが特徴です。ここからは、レトロモダンのインテリアにするメリットをご紹介します。
温もりがあふれる落ち着いた空間になる
レトロモダンのインテリアは、落ち着いたブラウンの木材を床やドア、家具でふんだんに取り入れます。また、木材を使ったアンティーク家具は年月とともに味わい深い色に変化するため、温もりがあふれる落ち着いた空間になります。 レトロモダンのインテリアでは、カーペットなどのファブリックもホワイト系や明るい色ではなく、くすんだ色を選びます。リビングやダイニングをレトロモダンのインテリアにすれば、幅広い世代にとってホッとできる居心地のよい空間になるでしょう。
喫茶店のような懐かしい雰囲気を楽しめる
レトロモダンのインテリアと聞いてイメージする情景のひとつが、昭和の雰囲気が漂う喫茶店でしょう。レトロモダンのインテリアでは、タンスや照明などのレトロな家具、古いドアや柱を活かします。上の世代にとっては懐かしく感じるものも、若い世代にとってはそのレトロさが新鮮で魅力的に感じることもあります。 ダークブラウンの木製テーブルやチェア、ゆったりとくつろげるラウンジチェアなどを合わせたら、昭和の喫茶店のような雰囲気でおうちカフェも楽しめます。
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古いドアや柱を活かせる
レトロモダンは、住宅のリノベーションを行う場合にもマッチしやすいインテリアです。古民家などの戸建ての場合は、古い柱や梁、ドア、土間や縁側も活かすことができます。経年変化した柱や梁、ドアは新しいものには出せない味わいや温もりを演出してくれます。 古民家は天井が低めに設計されていることが多いですが、レトロモダンのインテリアにすればおこもり感のある空間として魅力を引き出せるでしょう。古い和室との相性もよくなります。 一方、マンションの部屋をリノベーションする場合は、解体したスケルトンの状態を活かせば全体の雰囲気を変えられます。柱や天井をそのまま活かすことは少ないですが、一から作り直すことでレトロモダンの空間を実現できます。
レトロモダンを取り入れる際のポイント
リビングの壁紙はホワイト系を使うことが多い一方で、壁の一部にアクセントクロスを取り入れる方法もあります。リビングは面積が広いのでのっぺりとした印象になりやすいですが、アクセントクロスを取り入れることで空間にメリハリができ、洗練された印象になります。アクセントクロスを取り入れる場所や色によっては、空間に奥行きができて広く見えるメリットもあります。
レトロモダンのインテリアにするには、素材選びや家具選びが重要です。ここからは、大正、昭和初期を彷彿とさせる日本のレトロモダンを取り入れる際のポイントをご紹介します。
内装で取り入れる
まずは、内装でレトロモダンの要素を取り入れるポイントです
木の素材をふんだんに取り入れる
レトロモダンのインテリアにするためには、床、柱、梁などでふんだんに木の素材を取り入れることが大切です。温かみのある木材を使うことで、古民家カフェや喫茶店のような素朴で落ち着く空間になります。 木材の色は落ち着いたブラウン系がおすすめです。濃いブラウンだとモダンな印象に、薄めのブラウンだとナチュラルで親しみやすい印象になります。
床は寄木張りフローリングにする
レトロモダンのインテリアと相性がよいのが、「寄木(よせぎ)張りフローリング」の床です。寄木張りフローリングとは、小さな木材のピースを規則的なパターンで張っていくフローリングのことです。別名で「パーケットフローリング」とも呼ばれます。 寄木張りフローリングは張り方によってデザインが変わります。「ニシンの骨」を意味する「ヘリンボーン」は骨のように細長いピースを組み合わせるデザインで、高級感を演出できます。小さなピースをブロックのように組み合わせた「市松模様」は、明治から昭和初期の洋風建築に取り入れられていました。当時はモダンだったデザインが、現代になってレトロさが逆に新鮮に感じられるようになり、レトロモダンのインテリアの代表的なフローリングになりました。 床の素材は、モダンな雰囲気を出したいのであれば濃いブラウンのウォールナット、親しみやすい雰囲気を出したいのなら淡い色のチークやオリーブがおすすめです。
ドアなどでガラス素材を取り入れる
レトロモダンのインテリアではよくガラス素材が取り入れられます。ガラスは日本の古い住宅によく使われており、現代ではレトロな雰囲気を出せるためです。 ガラスを取り入れる際におすすめなのが、すりガラスや型板ガラスが入った建具を使うことです。すりガラスは砂などで表面に細かい傷をつけた、不透明の白っぽいガラスです。型板ガラスは片面に型模様をつけて、透明感はそのままに視界を緩やかに遮ることができるガラスです。 レトロモダンで人気のある型板ガラスはチェッカーガラスと呼ばれ、凹凸で格子などの柄を作ります。大きな格子柄だとよりレトロに、小さな格子柄だとよりモダンな雰囲気になります。目隠し効果もあり、ほどよく光を通すため、間仕切りや廊下とLDKの間の扉、室内窓などに適しています。 ドアは比較的簡単に取り入れられるので、マンションで古い柱や梁がない場合もレトロモダンの空間を演出するのに役立ちます。
家具・小物で取り入れる
次は、家具・小物でレトロモダンの要素を取り入れるポイントです。
アンティーク家具や小物を取り入れる
レトロモダンのインテリアには、アンティーク家具が欠かせません。先にインテリアのメインとなる家具を決めてから全体をイメージするのもよいでしょう。アンティーク家具にはどこか懐かしく、ホッとする落ち着いた空間を演出できるという魅力があります。 日本のレトロモダンであれば、江戸後期から大正の時代につくられた時代タンスなどを取り入れるのもよいでしょう。そのままでもよいですが、脚をアイアンにリメイクされたものなどを選ぶとモダンな雰囲気も感じることができます。 また、大正から昭和初期の外国の要素が入ってきた時代は、洋風の装飾を取り入れたアンティーク家具も多くあります。幾何学模様や色のついたガラス、彫刻があしらわれた家具などを取り入れれば、上品ながら華やかな和洋折衷のレトロモダンのインテリアになります。 アンティーク家具を取り入れるのが難しい場合は、アンティーク風の家具を使いましょう。ユーズド加工がされた木製の家具や、レトロな素材を使った照明なら比較的気軽に取り入れられます。照明の素材はスチールやアルミなどの金属、ホーローやすりガラスなどのシェードを使ったものがレトロさを演出できておすすめです。
アクセントカラーで赤や緑を取り入れる
大正、昭和初期を彷彿とさせる日本のレトロモダンは、落ち着いた木の色が最大のポイントです。そのうえで、アクセントカラーを取り入れることで洗練された空間になります。 アクセントカラーは、赤やからし色、緑などがおすすめです。なかでも明るすぎず、どちらかというとくすんだ色合いがレトロモダンには向いています。アクセントカラーを取り入れることで、晴れやかでハイカラな雰囲気を演出できます。 アクセントカラーを取り入れるときには、家具やドア、柱、梁などの気を暗めの色を統一することが大切です。暗い色のなかにアクセントカラーを加えることで、子供っぽくならずにシックで上品な雰囲気になります。 また、アクセントカラーの分量にも注意が必要です。アクセントカラーの範囲が広すぎたり、色の種類が多かったりするとごちゃごちゃした印象になってしまうためです。クッションやイスの座面、ドアのガラスなどで控えめに取り入れましょう。
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ファブリックはくすんだカラーを選ぶ
イスやソファの座面、カーテン、カーペットなどのファブリックはくすんだカラーを選ぶことが大切です。くすんだカラーは、レトロモダンにおける重要ポイントの落ち着いた雰囲気を演出してくれます。 ファブリックでアクセントカラーを取り入れるのなら、くすみのある赤や緑などがおすすめです。大正ロマンを彷彿とさせるムーディーな雰囲気になります。茶色やグレー、青などもくすんだカラーなら子供っぽくならず、レトロモダンなインテリアに向いています。 また、ファブリックの生地も注意したいポイントです。イスやソファの座面なら、光沢のあるベルベットや暗い色のレザーなどを使ったものを選ぶと落ち着いたレトロモダンの雰囲気を演出できます。
ソファやテーブルは低めの曲線的なデザインを選ぶ
ソファやテーブルなどの家具は、背が低いものを選びましょう。ローソファやちゃぶ台、座って使う文机などは、レトロモダンの代表的なアンティーク家具です。背が低い家具を取り入れると、上品で落ち着く空間になります。ソファであれば、背が低めの「カリモク60」がレトロモダンのインテリアで代表的です。 また、家具は曲線的なデザインのものを選びます。丸いテーブルや丸みを帯びた脚のソファやイスなどはレトロモダンのインテリアにピッタリです。和洋折衷の優雅な雰囲気を演出でき、レトロな喫茶店のような空間になります。
まとめ
古いものを活かしながら、現代的な機能やデザインを融合させたレトロモダンのインテリアは、どこか懐かしさのある落ち着いた空間を実現できます。レトロモダンのインテリアにするためには、内装と家具・小物などトータルでコーディネートすることが大切です。よりレトロモダンなインテリアにこだわりたい人は、空間全体をデザインできるリノベーションがおすすめです。