築45年、ヴィンテージマンションの理事長が思うこと ──リノベーションしたお客様の”その後“

VOICE

マンションに住む上で切っても切り離せないのが「管理組合」の存在。そう、住人が持ち回り等で役員を務めるという、例のあれです。

マンション管理組合の理事ときいて、「面倒だなぁ」と思う方も少なくないのではないでしょうか。マンションの資産価値は管理で決まるとよく言われますが、いざ自分ごととなると億劫に感じてしまうのもよく分かるところ。

ところが。

リノベる。でリノベーションされたお客様の中に、積極的に管理組合の理事長を務めている方がいらっしゃるとのこと。そして何やら、いわゆる「ふつう」とはちょっと違った企みをされているそう。

ぜひ詳しい話をお聞きしたい……ということで、リノベる。代表の山下とリノベる。ジャーナル編集部が、お客様のお宅を訪問。お話を伺ってきました。

左から、代表の山下と、Sさまご夫妻。

左から、代表の山下と、Sさまご夫妻。

築45年、知る人ぞ知るヴィンテージマンションの理事長に

山下 どうもご無沙汰しています。以前、ショールームの2周年記念イベントにお越しいただいた際、ご挨拶して以来ですね。

それにしても、噂には聞いていましたが、ものすごく雰囲気のあるヴィンテージマンションですね。素晴らしい。築40年くらいですか?

Sさま そう言っていただけると住人冥利につきます(笑)。築年は、今年でちょうど45年ですね。

Sさまご夫妻

山下 古いマンションならではの雰囲気を残しつつ、きちんと手入れがされていますよね。しっかり管理されているのがよく分かります。

Sさんが理事長になられたと聞いて、ぜひまたお話したいと思っていたんです。以前ご挨拶したときは、まだ理事はされていませんでしたよね?

Sさま そうですね。ただなんとなく、自分はやるんだろうなとは思っていました(笑)。

山下 面倒だなというような感情はなかったんですか?

Sさま もともと、このマンションのコミュニティにはとても良い印象をもっていましたからね。内見にきたときにも、すれ違う住人の方々が皆さんきちんと挨拶してくださったり。

築年数から考えると当然なのですが、お年寄りの方の割合が、一般的なマンションより多いと思うんですね。やっぱり、昭和世代ならではの良さというのか、エレベータでご一緒すれば世間話であっという間に1階についちゃうみたいな、そういう感じがすごくあって。

Sさまご夫妻

マンション管理に一般論は通じない?

山下 実際に理事を始められてみていかがですか?

Sさま やってみないと分からないことばかりだなと、改めて感じています。発見の連続です。

例えば耐震補強も、やるとなるとかなりのお金がかかります。マンションの管理会社からは、「費用の問題もあるので、工事に積極的な方は少ないですよ」と言われるんですね。

でも、住人の方々とお話していると、「理事長、耐震補強はどうしましょう!?」と。ご高齢の方からもよく言われます。

山下 なるほど、一般論が当てはまるわけじゃないんですね。

代表山下

Sさま そうなんです。私もそこで初めて、「この建物をどうしていくべきなのか」という大きな視点で考えるようになった気がします。

古いマンションなので、プライドをもって住まわれている方も多いんです。耐震補強といっても、見た目が変わってしまうようなものは嫌だと仰る方も多いだろうなと。

山下 これだけ雰囲気のある建物だと、そうした声は出てくるでしょうね。

Sさま マンション全体をどうしていくかという意識は、理事長になったからこそ芽生えたものかもしれません。少なくとも、妻と二人で「この部屋いいよね」と言っているだけでは湧き上がらなかっただろうと思います。

マンションの「緊急ではないが、重要な問題」に、どうアプローチするか

Sさま 実は、今年中に給水管の取り換えをする計画になっていまして。給水システムの変更といっても、給水管を外壁に露出させて済ませるのか、建物の中に埋設するのか決めなければならないんですね。

露出させる場合は5000万円、埋設すると1億円かかります。単に美観上の問題だけではなく、古い建物をどう活かしていくのかには、いろいろな考え方があると思うんです。金額も金額ですし、これを決定するのは大変なことだなと実感しています。

山下 非常に大きな判断ですね。

Sさま そうなんです。ただ管理会社さんからご提案いただいたのは、各世帯に資料を配布してアンケートをとって…という進め方で、それがどうもしっくり来なくて。いや、ちゃんと説明会やりましょうよ、と。

山下 素晴らしい。

Sさまご夫妻

Sさま せっかくのタイミングですから、これを機にマンションの美観についても「何を美しいとするのか」意見を出しあおうと。1Fの集会所も、もっとうまく使えないか考えようと。

たとえば、うちは高齢者の方も多いので、毎日マンションに宅配弁当のクルマが来ているんですね。一方で、若い方もたくさんお住まいですから、だったら集会所でお弁当をつくる組織をつくっちゃって、ここを基点に配送できるような仕組みができるんじゃないか。

山下 それはおもしろい!

Sさま マンション管理は、「重要性」と「緊急性」とで、やるべきことに優先順位をつけていくのが普通ですよね。管理会社さんとしては、「重要かつ緊急なもの」から取り掛かるのは当然として、次に緊急度の高いものから着手していくのが一般的なようです。

でも、その動き方を見ていると、「それほど重要でもないんだけど緊急性の高いもの」に追われてしまっている印象があって。

タスクの中には、「今じゃなくてもいいけど重要なこと」だってありますよね。そこは、管理会社さんではなく、われわれマンション側が主導していかないと、「ここに住んでよかった」と言えるような、このマンションならではの価値を積極的につくっていくことができない気がするんです。

山下 まさに。今までのマンション管理の考え方では、緊急にならないと物事が進みにくいんですよね。

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モノとしての価値を超えた、「マンション風土」という付加価値

山下 先ほどの「集会所でお弁当づくりを」というお話、とてもおもしろいです。マンションに「モノ」としての価値だけでなく、「コト」としての価値を感じていらっしゃるように思えます。

Sさま 実際、「コト」がマンションの価値を上げる可能性もあると思うんです。

実は、「マンションノート」というクチコミサイトに、このマンションのことを書き込んでみたんですね。そうすると、あれよあれよとPVが上がっていって、書き込んで半年もたっていないのに、なぜかこのマンションのページが2万回以上も見られているんです。

それに伴って、マンションの売り価格が、私が買ったときより上がっていて(笑)。

山下 それはすごい。

Sさま モノとしての価値だけで住む家を買うというのは、明らかにおかしいですよ。山下さん40代ですよね? 僕らの頃って、大学を「キャンパスの綺麗さ」で選ぶってあったじゃないですか。

山下 ありました、ありました。まったく本質的じゃなかった(笑)。

Sさま あれと同じだと思うんです。会社を選ぶとき、「社屋が綺麗だから」という人っていないですよね。就活をしている学生さんも、「社風にひかれて」って言うじゃないですか。

そこに身をおいて長い時間を過ごすのであれば、「雰囲気」が大事なんだってみんな分かっているはず。

校風や社風があるように、マンションにも「マンション風」のような風土があるんですよね。

山下 そのマンションならではの空気が絶対ありますよね。

Sさま いまの集合住宅で、その空気感を外に向かって発信できているところはほとんどないですよね。ただの住むハコ。そこに自分が合わせていかなきゃいけないというのは、どうしても窮屈な感じがしてしまいます。

山下 社風で会社を選ぶように、「マンション風」をチェックして、どのマンションを買うか選べるようになればおもしろいですね。中古マンションの場合は特に、その建物・その住人の方だからこその雰囲気がありますから。

Sさま すべてのマンションでできることではないかもしれませんが、私自身、「うちのマンションではこういう住まい方ができますよ」というイメージを、外に向けて提案していきたいと思っています。これからは、モノではなくコトとしての価値を高めていくことが、マンションの資産価値につながっていくんだろうなという感覚は、非常に強いです。

いつか、ヴィンテージマンションの屋上で、ビアガーデンをやってみたい

山下 こちらのマンションの雰囲気を発信していくにあたって、理事長としてどんなことをお考えですか?

Sさま 「新しいことができるヴィンテージマンション」というイメージを出していきたいと思っています。

密かな野望なんですが、この屋上でビアガーデンとかやりたいんですよ(笑)。そうした形で新しさを発信しつつ、地元の方々には「このマンションの若い人は街に貢献している」と思っていただけるようにもしていきたいと思っています。

例えば、このあたりは歴史が深く、落ち着いた土地柄ということもあって、マンション内外にご高齢の方が多いんですね。そうした方々に対して何かサポートできないかなと。

山下 先ほどおっしゃっていたように1Fの集会所を使うとか、「場の力」を働かすことができれば、うまくきっかけを作れるかもしれませんね。

Sさま 実は近隣に、素晴らしいコミュニティが生まれているマンションがあるんです。築年数も45年と、うちのマンションと同じくらい。

管理会社に委託せず住人の方が自主管理をされているマンションなのですが、敷地内にあったスーパーが撤退することになったとき、跡地におかしなテナントが入るくらいならと、その土地を買い取ったそうなんです。

山下 管理組合で買い取ったんですか!?

Sさま そうです。管理人の仕事も、住人さん同士がシフトを組んでやっているそうで。特にご高齢の方が積極的に関わっていらっしゃるとのことでした。

これは、マンション自治としてものすごく新しい動きだと感じていて。「リノベる。」でリノベーションされた方がそちらにお住まいだと知って、一度お会いしてお話させていただきました。

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家を買うことが、自分たちをより良く変えるきっかけになるんだと思う

山下 リノベーションを経験すると、多かれ少なかれ、自分たちの住まい方や暮らし方をより豊かにしていこうと考えるようになりますよね。お話を伺っていて、リノベーションを経験された方が視野をどんどん外に広げて、マンション全体について考えるようになるのは、実は自然なことなのかもしれないなと感じました。

Sさま 家を買うときの一番大事な基準って、「その家を買うことで自分たちがどう変われるか?」だと思うんです。何も変わらないのであれば、むしろ買う必要ないじゃないですか。

結婚したり子どもが生まれたり、ライフステージの変化を機にマイホームをお求めになる方が多いと思います。そのときに、ただ家族構成にあわせて住むハコを変えるのではなく、自分たちの暮らしや生き方をより良く変えていくためのきっかけとして、家を買おうとすることが大切なのかなと。

山下 実は、「リノベる。」に込めているメッセージが、まさにそれなんです。

「リノベる。」という名前には、“まる(句点)”が付いているのですが、“まる”って文章の最後に付けるものですよね。そこからまた新しい文章を始めるために付けるもの。私たちがやっているサービスは、それまでの暮らしに“まる”をつけ、また新しい暮らしをスタートするきっかけを提供することだと考えているんです。

Sさま なるほど、続きがあるからこその“まる”なんですね。

山下 そうなんです。今までの家の買い方だと、どうしても「家を買うことがゴール」になってしまっているように感じます。そうではなくて、家を買うことは新しい暮らしのスタートなんだと。一人でも多くの方に、そう思っていただけるような、気づきやきっかけを提供できたらと思っています。

Sさま 特に中古住宅って、「安いんだから、多少気に入らないところがあっても我慢しなきゃ」という感覚がまだまだありますよね。

かくいう私も以前はそうでした。友人が中古マンションを買ったと聞いて、「え、なんで中古?」「ワケありなのかな」なんて思っていましたから(笑)。

そこからリノベーションの存在を知って、実際にやってみて、既存のものに合わせるのではなく、自分たちの暮らしを自分たちで自由に作っていけるんだという気づきを得たのは、とても大きかったですね。

山下 Sさんのような方々のお考えや取り組みが、より多くの方に知られて、一人二人と共感してくださる方が増えていけば、時代が変わりますよね。ぜひ私たちも、そのお手伝いをしていきたいと思います。

こちらのマンションのこれからが、とても楽しみです。ぜひまたお話を聞かせてください。

Sさまご夫妻と代表山下

(おわり)

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