キッチンだけじゃない!床下収納 徹底解説。マンションでも取り入れられる秀逸事例も注目

キッチンだけじゃない!床下収納 徹底解説。マンションでも取り入れられる秀逸事例も注目
間取り・部屋別

普段使わないなものや一時的にモノを整頓したいときに、なにかと便利な床下収納。うまく活用すれば、お部屋をすっきり見せることができ、より快適な生活を送ることができます。今回の記事では、床下収納の種類や設置場所別のメリット・デメリットを解説。床下収納の秀逸な収納事例もあわせてご紹介します。

※最下部にある「費用情報に関するご注意事項」をお読みください。

 

目次

床下収納とは?

床下収納とは、床の下に作られた収納スペースのことです。床下を使うので、部屋の広さはそのままに収納を増やすことができます。また、床下は人目に触れることもなく、生活動線を邪魔することもないため、収納にぴったりの空間といえるでしょう。

明治時代には、台所の床の一部分を揚板式の収納庫として使用していたそう。デッドスペースを有効活用するための、昔からの知恵ですね。床下収納は床下にあるので、かがんで物を出し入れする必要があります。そのため、買い置きの品や季節ごとに使う道具類など、出し入れの回数が少ないものを収納するのがおすすめ。一戸建ての場合は、床下点検口としても使用できます。床下に設置するタイプのもの以外に、置き床式があります。段差を利用したり床をかさ上げしたりして床下収納を作れるので、一戸建てだけでなくマンションにも設置できます。

床下収納 イメージ

床下収納をどこに設置する?種類は?

デッドスペースを有効活用できる床下収納ですが、どこに設置するのがいいのか、また、固定タイプやスライドタイプなど、床下収納の種類について解説します。

おすすめの設置場所

床下収納の設置に最適な場所として、キッチン、洗面所、和室、寝室、リビングなどがあります。基本的には床の下に設置するため、家の構造や配管などの位置によって設置できる場所が変わってきます。床上に設置するタイプなら場所を選ばないので、アイデア次第でさまざまな場所に設置できるでしょう。

種類1:固定タイプ

一番オーソドックスなタイプで、蓋を開けると床下にひとつの収納ボックスが設置されているものです。浅型と深型があり、使う頻度や場所によって使いわけることができます。

種類2:スライドタイプ

床下に複数のボックスが連結して設置されていて、中の収納ボックスをスライドさせて物を出し入れします。開口部はひとつだけで、複数の収納スペースを確保できます。

種類3:蓋 取り外すタイプor扉のようになっているタイプ

蓋を取り外すタイプと、扉のように開いて物を出し入れするタイプがあります。蓋を取り外すタイプは開口部が大きく開くため、中の物が見やすく物を出し入れしやすいのが特徴。取り外した蓋を置いておくスペースが必要です。扉のようになっているタイプは開口部が蓋で多少ふさがれてしまいますが、片手で開け閉めすることも可能。蓋を置くスペースも必要ありません。

種類4:蓋 ガスダンパー式

圧縮ガスの反力を活用して蓋を軽く開閉できる「ガスダンパー」。和室の畳にガスダンパーをつけて、床下収納の蓋にすると、畳一枚分の床下を収納として使うことができます。容量が大きいので、収納できる物の幅が広がります。

種類5:床上に設置するタイプ

家の構造上の理由で床下に収納が作れない場合には、置き床式の床下収納を設置したり、床をかさ上げして床下収納を作れます。置き床式の収納システムは、置き蓋や引き出しタイプなど開口部の種類も豊富。キャスター付きで移動が可能なものもあります。生活スタイルや使い勝手によって、位置を変えることができるのが魅力です。

床下収納 イメージ画像

床下収納をリフォームするときに知っておきたいポイント

収納するものをイメージする

床下収納は、あるだけで便利だと思われるかもしれませんが、実際は用途に合ったものを選定することで、活用の範囲や使いやすさがかります。出し入れ方法にもいくつかタイプがあります。何を収納したいかによって適した大きさも変わってきます。まずは、どんなものを収納したいのか思い浮かべ、過不足ないサイズを把握しましょう。

床下収納の形状や種類によっては、出し入れのしやすさやそのときの体の負担にも考慮する必要があります。重量のあるものを引き上げるタイプの場合、特に注意が必要です。

床下収納に収納するものサイズや重さ、出し入れの頻度などを考慮したつくりを検討してみてください。

家の機能への影響に注意する

床下収納は、適した場所に設置しないと住宅の機能に悪影響を及ぼす可能性がある点にも注意が必要です。たとえば、床下収納を設置したものの蓋を開けて取り出すのに十分なスペースが確保されていなかったり、せっかく断熱仕様にしているのに、その機能が床下収納によって損なわれるというケースもあり得ます。

また、場所によっては湿気がたまりやすく、定期的な換気や除湿剤の設置が不可欠となる場合も。こうした手間や住宅への影響は、床下収納を設置したあとで後悔することのないように、事前に業者に相談し、確認しておくことが大切です。

ペットボトルを収納した床下収納

【設置場所別】床下収納のメリット・デメリットと上手な使い方

ここからは、床下収納の設置場所別に、メリット・デメリットと上手な使い方をご紹介していきます。

キッチン

メリット

ストックするものが多いキッチンは、床下収納を設置する場所として、最初に候補として挙がる場所です。キッチンの収納は多ければ多いほどうれしいもの。カップ麺や缶詰、ペットボトルなどの食品類のほか、カセットコンロや鍋など、限られた季節に使うものの収納に重宝します。入れるものは湿度と温度変化に強く、あまり使用頻度が高くないものが適しています。

デメリット

湿度と温度変化の影響を受けやすいため、腐りやすいものや賞味期限の短いものを収納するときには注意が必要です。除湿剤を入れたり新聞紙を敷くなどの湿気対策をしたり、こまめに賞味期限などの確認をしたりしておくと安心でしょう。

上手な使い方

キッチンの床下収納は、底が深いタイプのものが採用されることが多いのが特徴。ただし、物を重ねて収納してしまうと、下になっているものが確認しづらく、食品だと賞味期限も気になります。上から見たときに何がどこにあるのか一目で確認できるよう、縦を意識して収納しておくと使い勝手がよくなります。

キッチンの床下収納での保管に適したもの、適していないもの

1.キッチンの床下収納に適したもの

キッチンの床下収納に保管しやすいものは以下の3つです。

  • 普段あまり使わないもの
  • ストックとして置いておくもの
  • 腐らないもの

普段あまり使わない、ホットプレートやカセットコンロ、鍋など、使用頻度が低く、シンク下の収納などに収めるには少し場所をとるもの保管に適しています。季節によって使うもの、たくさんゲストが来たときだけ使うものなど、出番の少ないものを床下収納に保管しておくと、キッチンがすっきりと片付きます。

また、非常用の保存食や缶詰、調味料、キッチン関連の日用品などを、安売りしているときにまとめて購入する方も多いかもしれません。こうした、すぐには使わないストック用品も、必要になるまで床下収納に入れておくとよいでしょう。

ただし、普段目につきにくくなるため、入れっぱなしにして忘れてしまわないよう管理に工夫が必要です。床下収納に入れるのは、基本的に腐らないものをメインとするのがベターです。ぬか床や根菜などの保管場所として選ばれることもありますが、注意が必要です。

2.キッチンの床下収納に適さないもの

  • 重くて出し入れが負担になるもの
  • 日持ちしないもの
  • よく使うもの

以上の3つは、床下収納には向いていません。先ほどご紹介したとおり、床下収納のタイプによっては、重いものを出し入れする際体に負担がかかります。保管や取り出しの動作が面倒になってしまうものの保管は避けたほうがよいでしょう。目安としては、片手で簡単に持てるものがベストです。

また、床下収納には長期保存できるものを除き、基本的には食品は避けたほうがよいでしょう。ふだん目に留まらないために、忘れてしまって腐らせるという失敗も耳にします。長期保存できる食品であっても、賞味期限が管理できる状態にしておけると安心です。

床下収納 イメージ画像

洗面所

メリット

シャンプー、掃除用の洗剤類、ティッシュなど、キッチン同様ストック類が増えやすい洗面所でも、床下収納が役立ちます。狭くなりがちな洗面所では床下を利用することで床上の面積を広く使え、見た目もスッキリとさせることができます。

デメリット

床下収納の仕様によっても変わりますが、蓋の隙間から熱が逃げ、寒い季節には室温に影響する可能性があります。断熱材を使用したタイプの床下収納もあるので、冷気が気になる方は検討してみるのもいいでしょう。また、床下収納の上を歩く頻度が高いほど、きしみが発生しやすくなります。洗面所は人の出入りが多い場所でもあるため、取り付けの際には慎重に位置を決める必要があります。

上手な使い方

歯ブラシや石鹼などの細々としたものを収納する際には、ファイルボックスやワイヤーボックスを使うのがおすすめ。整理がしやすく取り出すときにも便利です。洗面所という場所柄、髪の毛やほこりが溜まりやすいので、定期的に掃除をしておくとカビ対策にもなります。

和室

メリット

和室に床下収納を設けるメリットとして挙げられるのは、やはり、大きなものを入れられることではないでしょうか。畳を蓋として活用し、その下を収納スペースにするので、かなり大きなサイズのものをしまえます。また、蓋が畳なので、そこに床下収納があるようには見えづらく、和室の景観を損ねません。

デメリット

床下収納は、蓋を開けるときに上にものがない状態にしなければならないので、蓋のスペースを空けておく必要があります。使用頻度が低くても、開ける前にわざわざ蓋の上に乗っている物を動かさなければならないと、使うのが億劫になってしまいます。床下収納の物の出し入れがしやすいように、事前に、部屋のレイアウトを考えておくとよいでしょう。

上手な使い方

和室の床下収納には、季節のイベントグッズ、アウトドア用品など、使用頻度が少ないものを入れておくとよいでしょう。防災用の備蓄品を収納するのもおすすめです。しかし、持出し用の防災グッズは災害時すぐに取り出せるよう、床下収納に入れておくのは避けましょう。

床下収納 イメージ画像

床下収納のリフォームにかかる費用相場

固定式の床下収納の設置費用

固定式の床下収納は、専用のボックス型収納を床下に設置するもので、以下の3種類が主流です。これらは、蓋の開け方の違いで分類されています。

  • スライド式
  • 置き蓋タイプ
  • 扉式

設置したい床下に十分なスペースがあり、基本的な工事だけで床下収納を設置できる環境であれば、10万円〜15万円程度が目安となります。専用ボックスそのものにかかる費用の相場は5万円程度。なかでも、置き蓋タイプのものはリーズナブルなものが多い傾向にあります。

和室の床下収納の設置費用

和室の床下収納の場合、和室を小上がりにして畳の下に収納スペースをつくり、引き出しのように設置するタイプが多いです。畳下部分を広く収納として活用できるため、和室の広さにもよりますが収納スペースを十分に確保しやすいです。

一度、床を解体して土台を設ける工事をおこなうため、設置費用の目安は20万円程度です。床下収納の広さや種類、施工会社によって費用は変わります。

床下収納を選ぶ際のポイントは?リフォームで取り付けられる?

新築する際は、収納するものの量と種類に合わせる

建売の新築住宅の中にも、床下収納を備えている場合はありますが、注文住宅を建てる場合は、オーダーメイドで設置することができます。収納するものの内容や量に合わせて、どこに設置すべきか、どの程度の広さ・深さにすべきかを施工会社と相談してみてください。設置箇所に合わせて蓋の開き方も検討しておくと、収納の出し入れの際の体の負担の軽減や作業のしやすさにつながります。
また、新築で床下収納をつくる場合は、床下点検口の位置も一緒に検討できるため、より希望に合ったものがつくりやすいと言えるでしょう。

リフォームで取り付けられる?

床下収納は、リフォームによって後付けすることも可能です。しかし、家屋の構造によっては設置できない可能性もあるため、自分の希望どおりにならないことも。ここでは、戸建住宅の場合と、マンションの場合についてご紹介します。

戸建ての場合

・点検口がある場合
床下の状態の把握やメンテナンス時に使用する床下点検口のある場所は、リフォームでそこに床下収納を取りつけることができます。メンテナンスで床下に入らなければならない場合は、収納庫を取り外して出入りします。

・点検口がない場合
点検口がない場所は、配線や配管、住宅を支える構造部材を避けるなどの注意が必要になります。住宅としての機能に差し支えない場所に設置することとなるため、希望どおりにはならないかもしれませんが、まずは施工会社に相談してみてください。床下の構造に考慮し、住宅の躯体の耐久性に影響のでない方法で設置しましょう。

マンションの場合

マンションの場合、戸建てとは違い床下収納の設置が困難なケースが多いです。マンションの構造上、床下はコンクリートになっており、その上に配管が通っている場合もあります。戸建てのように、地面との間に十分な隙間がはなく、床下収納を設置できるスペースが取れない場合が大半と考えてよいでしょう。床を上げて設置する方法もありますが、天井までの高さが変わることで建築基準法で定められた高さが確保できなくなる可能性もあるため事前の確認が必要です。

秀逸な床下収納事例3選

さまざまなバリエーションのある床下収納ですが、実際に取り入れる際に、どこに設置して、何を収納すればいいのでしょうか。イメージが膨らんでくる秀逸なリノベ―ション事例をご紹介します。

ベッド下の空間を有効活用した2つの事例

床下収納 事例1

まずひとつ目は、ハンバーガー屋さんを営むご夫婦の事例。寝室のベッド下にあたる部分の床を80cm高くすることで、奥行きのある床下収納を作っています。ウォークインクローゼットに入らなかったものなどを収納しておくのにも活躍しているそうです。

▼このおうちの詳しい事例を見る
「ショーケースのような収納を挟んだ3層レイアウト」
https://www.renoveru.jp/renovation/330

ベッド下の空間を活用したふたつ目の事例は、ご夫婦と2匹の猫ちゃんのおうち。寝室の床下に、収納家具はもちろん、人が入れるほど大型の床下収納を作りました。ウォークインクローゼットと合わせると、驚きの収納量に。このふたつの収納スペースのおかげで、居住空間はすっきり。素敵なインテリアが映える空間になっています。

▼このおうちの詳しい事例を見る
「ふたりの、65.92㎡アイデアハウス。」
https://www.renoveru.jp/renovation/184

2種類の収納を備えて

床下収納 事例2

リビングの一角に造られた小上がりには、上部の畳を取り外して使うタイプと引き出しタイプの2種類の収納が備えられています。お子さんが生まれたら、おむつ替えのスペースとしても活用したいそうです。

▼このおうちの詳しい事例を見る
「思い出を日常に」
https://www.renoveru.jp/renovation/326

床下収納についてのよくある質問

さいごに、床下収納に関するよくある質問にお答えしていきます。

Q:床下収納のメリット・デメリットは何ですか?

A:床下収納の大きなメリットは、収納場所が増えることですっきりと暮らしやすくなることです。クローゼットなどとは異なり、収納のためだけの床面積を確保する必要がありません。床下の空間を活用して収納スペースを拡張することで、居室空間がきれいに保ちやすくなる点は嬉しいポイントです。

一方で、床下収納をつくると、わずかながら段差が生じるケースもあり、掃除の手間や見栄えが気になる方もいるかもしません。また、蓋の隙間から床下の冷気が侵入しやすくなることで、家の断熱性が下がる場合があるといった懸念点もあります。床下収納を設置する箇所や蓋の種類など、施工会社に相談しながら適したものを選ぶようにしましょう。

Q:床下収納の設置費用の相場はどれぐらいですか?

A:工事の内容や施工会社によっても費用は異なりますが、基本的な工事で一般的な床下収納を設置する場合の相場は、10万円〜15万円程度が目安となります。戸建てかマンションか、設置箇所の床下の構造などによっても費用が変動しますので、具体的に検討している方は施工会社に問い合せて見積を依頼してみてください。

まとめ

床下のデッドスペースを上手く利用することで、部屋を広くスッキリと見せることができる床下収納。アイデア次第でさまざまな使い方ができるのが魅力です。ぜひ自分にぴったりの使い方を見つけて、床下収納を活用してみてください。

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