夫婦ふたりと愛犬の「今」を楽しむ。将来の住み替えを見据え中古マンションをリノベーションした61㎡(平米)のワンルーム
面積:61㎡
間取り:2LDK→ワンルーム+WIC
建物:マンション
完工時築年数:築35年
家族構成:ふたり暮らし(夫婦)
結婚を機に住宅購入を検討しはじめたお施主さま。これまでは長く同じ場所に住むよりも、住み替えを重ねていくライフスタイルだったといいます。ライフスタイルが変化したときには家をスムーズに変えられるよう、将来的に「手放すこと」を前提にした住まいづくりをスタートされました。
おふたりが選んだのは、エリアを優先して見つけた築35年、広さ約61㎡(平米)の中古マンション。元々は2LDKだった間取りを、開放的なワンルームへとリノベーションされました。
「夫婦ふたりの今を楽しむ暮らし」をコンセプトに、シンプルながらも暮らしやすさと遊び心のある住まいです。
ベビーカーもスーツケースもそのまま置けるマルチ空間

玄関の扉を開けると、約2.5帖の広々とした土間スペースが広がります。
既存の中古マンションに多い狭い玄関を「倍くらいの広さにしたい」というお施主さまの希望から、このゆとりある空間が実現しました。夫さんが出張に行く際のスーツケースを、外から帰ってきてそのまま置ける利便性に加え、将来お子様が生まれたときにベビーカーや遊び道具もそのまま置けるように、という先々の暮らしの配慮も込められています。
旅行の準備をするときには、クローゼットから持ってきた洋服を土間に並べて荷造りをすることもあるそうで、マルチに使える便利な空間として大活躍しています。
廊下ゼロの間取りで、家族とつながる開放的なLDK

玄関から一歩足を踏み入れると、廊下を挟まずにすぐLDKへとつながる間取りになっています。
お施主さまは、いろいろな物件を見る中で「廊下がすごくもったいない」と感じていたとのこと。空間を最大限に広く活かしてLDKを広々と確保するために、廊下をなくす間取りを選択しました。これは「リノベる。」のショールームでも取り入れられているアイデアで、元々やりたかったことのひとつだったといいます。
玄関を入ってすぐにお互いの顔が見えるため、自然とコミュニケーションが生まれるんだそう。
また、玄関横の壁面は一見すっきりとした壁のように見えますが、靴の収納スペースとトイレが隠されています。生活感を出さない美しい空間づくりを徹底されています。



旅先のホテルを参考にした洗面スペース

玄関を上がってすぐの動線上には、こだわりの洗面台があります。
帰宅後すぐに手を洗ってから荷物を片付けられる、現代のライフスタイルに寄り添った効率的な動線です。
既製品では好みの雰囲気のものが見つからなかったため造作したというこの洗面台は、お施主さまが旅行で訪れた「星のや富士」の洗面を参考にしたものだそう。

鏡の裏の収納には化粧道具などをすっきりと隠し、向かって右側の隠せる収納には洗剤などのストック類を収納。毎日使うヘアアイロンやコテなどは、すぐ取り出せるオープンなスペースに収められ、見た目のすっきり感と、使いやすさを両立しています。

さらに、洗面台の下部はあえて空間を浮かせるデザインになっています。
これはデザイナーからの、空間の抜け感を意識した提案によるもので、床面にはお掃除ロボットの基地となる電源もあらかじめ完備されています。
角度調整アームでどこでも特等席に!壁面をすっきり見せるTVニッチ

リビングの主役となるテレビは、壁面を30cmほどくぼませたスペースに、壁とテレビの表面がフラットになるように設置されています。
TVの背面には、手前に引き出して角度を変えることができるアームを採用しており、ソファから正面で見るだけでなく、ダイニングにいても画面が見やすいように工夫されています。

テレビの正面には、「カリモクニュースタンダード」の大きめな3人掛けソファを配置。休日は愛犬のあおまるくんと一緒に、ここでずっと映画や動画を見て過ごすのが至福の時間だそうです。

朝シャン派のための超効率動線。お風呂直結型のWIC

洗面台横の扉には、印象的な取っ手が。お部屋の真ん中にあるためアイキャッチになるようにと、デザイナーと一緒に選んだお気に入りのパーツなんだそう。

扉を開けると脱衣所とお風呂、そして大容量のウォークインクローゼットが一続きにつながっています。
夫さんが朝起きてすぐにシャワーを浴びるタイプであることから、お風呂上がりにそのまますぐに着替えができる、行ったり来たりしやすい動線を意識されました。

暮らしに合わせて選んでいく。余白を残したリノベーションと家具選び

リビングの壁面は、あえて壁紙を貼らず塗装も施さない、コンクリートの躯体をそのまま活かす「躯体現し」に。
デザインの検討期間に色を決めきれなかったため、まずはそのまま住んでみて、後から暮らしに合わせて壁の色を決めていこうという暮らしに合わせた柔軟な選択をとることに決めたんだそうです。また将来的に手放すことになった際にも、次の買い手が好きな色に塗り替えられるというメリットも見据えています。
ダイニングスペースには、180cmの大きな「カリモクニュースタンダード」のダイニングテーブルが置かれています。普段は壁に沿わせて配置していますが、来客時などには90度回転させてキッチンと並列にレイアウトを変更することも可能です。

椅子はふたり暮らしでありながら6〜7脚もの椅子を用意。友人がたくさん集まることも多いのだそう。ダイニングテーブルに組み合わされているのは、「アルテック(Artek)」やマルニ木工の「HIROSHIMA」、イギリスの「アーコール(Ercol)」など、すべて異なるデザインの椅子たち。今後はさらに気に入った椅子を集めて増やしていきたいと、教えてくれました。
回遊動線と掃除のしやすさを両立した、セパレートキッチン

キッチンは、コンロ側とシンク側が前後に分かれている「セパレートタイプ(II型)」を採用。
玄関から帰ってきた際、ぐるっと遠回りせずにアクセスできる回遊動線をつくることと、
油跳ねの気になるコンロを壁沿いに配置したいという希望を叶えた結果、自然とこのセパレート型に行き着いたといいます。

ベースは「エクレア(EKREA)」というメーカーのセミオーダーキッチンを使用し、シンクの位置や水栓のパーツなど、好みのアイテムをひとつずつセレクトして組み合わせています。コンロ側・シンク側のどちらにも十分な作業スペースを確保。コーヒーメーカーや炊飯器、オーブンレンジなども使いやすく配置されています。

キッチンの床材には、「塩ビタイル」を採用。油跳ねや水こぼしによる汚れが気になる水回りだからこそ、掃除のしやすさを最優先して選ばれたんだそう。この塩ビタイルは、脱衣所やトイレにも同じ素材が使用されており、住まい全体のメンテナンス性を高めています。

また、以前の賃貸暮らしの際、ゴミ箱の置き場所にとても困っていたという経験から、シンクの下をあえてすべて空洞にする設計に。無印良品のゴミ箱がすっきりと美しく収まるように計算されており、調理中の動線も邪魔しない工夫が施されています。

障子のような造作建具で視線と匂いをコントロール。窓際小上がりの寝室スペース

キッチンの奥には、約2.3帖のコンパクトな寝室が設けられています。
床面が一段高くなった「小上がり」になっており、下部は段差を活かした収納スペース、上部はすのこを敷いた上にシングルサイズとセミダブルサイズのマットレスを並べて置いています。キングサイズ以上のゆとりある横幅が確保されており、将来的にお子様が小さいうちは、家族みんなで川の字になって寝ることも想定し、広さを確保しています。

寝室の面積をあえてコンパクトにした分、LDKを広く使えるというメリハリのある間取りになっています。
以前住んでいた賃貸住宅はワンルーム仕様で、寝室とリビングの距離が近く、どちらかがテレビを見ているときに寝室まで音が響いたりすることに抵抗感があったというお施主さま。
そこで、今回のリノベーションでは空間を完全に仕切るのではなく、視線をやさしく区切ることができる造作の引き戸を設置されました。
この引き戸は、「障子(しょうじ)っぽくしたい」というお施主さまの要望に対し、小上がりやキッチン、洗面台と同じ「シナの木」の突き板で作られており、建具の面には乳白色の半透明なプラスチック素材がはめ込まれています。ガラスではないため重量が軽く、窓を開けたときの風によるガタガタとした音も気になりません。さらに、ガラスに比べて費用を抑えられるというコスト面でのメリットもあったといいます。
キッチンと距離が近いと心配な匂い移りについては、調理時にはこの引き戸を閉めておき、すぐ近くにあるバルコニーの窓を開けて換気をすれば、匂いが残ることもなく快適に過ごせているそうです。
マンションに、一軒家のような縁側スペース

寝室の隣のバルコニーに面したスペースには、マンションの室内とは思えないユニークな「縁側スペース」が広がっています。
床面は玄関土間と同じモルタル素材で仕上げられており、窓際には空間にぴったりと合わせてつくられた造作のベンチが設置されています。
ご夫婦は、元々どちらも「理想の家は?」と聞かれると「縁側とお庭のある平屋の一戸建てに住みたい」という共通の夢を持っていたそう。しかし、仕事の状況など今のタイミングを総合的に考えた結果、今回は手離れのいい中古マンションリノベーションを選んだといいます。
その一戸建てへの憧れの"余韻"として、マンションの中にチルスペースを作りたいという想いから、この縁側を取り入れられました。

この家を購入したタイミングと同時期に夫さんがリモートワークの多い仕事に転職されたことや、コロナ禍による在宅ワークの増加も見据え、ダイニングとは別に少し距離を置いたワークスペース(書斎)としても活用されています。将来的には子供部屋として活用することも視野に、マルチに使えるスペースとなっています。
ワンルームで仕切らないから生まれる会話。リノベーションがもたらした変化
この家に引っ越すタイミングで夫さんの働き方が変わり、お互いの休日や生活リズムがすれ違うことが多くなってしまったそう。そのような変化の中でも、仕切らないワンルーム仕様だからこそ、多くのポジティブな変化が生まれたといいます。

「仕事から帰ってきたら、絶対にダイニングにどちらかがいて『お帰り』と言い合える」
「洗面台で身支度をしているときに起きてくると『おはよう』と言葉を交わせる」
空間を細かく壁で区切らないワンルームスタイルだからこそ、お互いが今どのような状態なのか(疲れているのか、楽しそうにしているのかなど)が自然と目に留まり、すれ違いの生活の中でも、以前よりもさらにコミュニケーションをたくさん取るようになったと実感しているんだそうです。
「お互いの気配を感じながら心地よい時間を共有できるようになりました。」と話すお施主さま。
将来の住み替えを見据えた柔軟な住まいづくりでありながら、「夫婦ふたりの今を楽しむ暮らし」が、このリノベーションによって何より豊かに実現されています。








