住宅ローン控除を受けるために確定申告で必要な書類は?手続きの流れや注意点を解説

住宅ローン控除を受けるために確定申告で必要な書類は?手続きの流れや注意点を解説
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毎年、2月になると確定申告の準備で忙しくなる人も多いでしょう。マイホームの購入や特定の改修工事を行った方は、住宅ローン控除の対象となります。ここでは、住宅ローン控除で必要な確定申告について、手続きの流れや揃えるべき書類、ポイントなどをご紹介します。

目次

住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除は、マイホームを購入したり、省エネやバリアフリーなど特定の改修工事をしたりした人を対象に、所得税が還付される制度です。国税庁では、正式名称として「住宅借入金等特別控除」という名称も用いられますが、一般的には「住宅ローン控除」という言葉が使われる場合が多いです。

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住宅ローン控除を受けるための条件

住宅ローン控除を受けるには、以下のような条件を満たす必要があります。

  1. 控除を受ける人のその年の合計所得が3,000万円以下であること 
  2. 控除を受ける本人が住んでいる(住宅取得後6ヵ月以内に入居し、かつ控除を受ける年の12月31日まで住み続けること) 
  3. 家屋の床面積(登記面積)が50㎡以上で2分の1以上を居住スペースとして使用していること
  4. 住宅ローン等の返済期間が10年以上で、分割して返済するものであること 
  5. 居住の前後各2年、計5年間の間で長期譲渡所得といった特例の控除を受けていないこと 

※中古住宅やリフォームの場合、「築年数が20年以下」といった個別の条件が追加されるので注意

【住宅ローンを利用しなくても控除が受けられるケース】
以下の工事等については、住宅ローンを利用しなくても控除の適用を受けることが可能です。

  • 住宅耐震改修
  • バリアフリー改修工事
  • 省エネ改修工事
  • 多世帯同居改修工事
  • 耐久性向上改修工事(住宅耐震改修や省エネ改修工事を併用)
  • 認定住宅の新築 等

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住宅ローン控除を受ける方法

まずはじめに、住宅ローン控除の申請のタイミングは、入居した翌年の確定申告の時期です。確定申告は、原則毎年2月16日〜3月15日までとなっているため、早めに準備をすすめておきましょう。

サラリーマンの方で、給与以外の収入がない場合は、1年目だけ確定申告をすれば、その後は勤務先の年末調整で控除を受けることができます。確定申告は、必要な書類を用意して、管轄の税務署に直接もしくは、郵送で提出します。

住宅ローン控除を受けるための確定申告で必要な書類

住宅ローン控除を受けるためには、確定申告をしなければなりません。そのためには、次のような書類を用意しておく必要があります。

確定申告書

確定申告書は、AとBの2種類があります。所得の種類が「給与所得」「雑所得(公的年金等、その他)」「配当所得」「一時所得」のみの場合は確定申告書Aを利用できます。

Aで説明した所得のほかに「事業所得」「不動産所得」「利子所得」「譲渡所得」がある場合は、確定申告書Bを選択します。Bはどなたでも利用することが可能です。企業の従業員として働き、給与所得のある方であれば確定申告書AかBを、自営業などの方は確定申告書Bで作成するということになります。

確定申告書

源泉徴収票

給与を受け取っている方は、通常12月〜1月の間に勤務先から源泉徴収票を受け取ります。確定申告の時期まで大事に保管しておきましょう。

マイナンバーが記載されている書類

マイナンバーカードもしくはマイナンバー通知カードを用意します。もし、どちらもない場合は、マイナンバー記載の住民票の写し、もしくは住民票記載事項証明書でも代用が可能です。住民票の写しや住民票記載事項証明書は、市区町村役場で入手することができます。

住宅借入金等特別控除額の計算証明書

税務署で入手もしくは国税庁のホームページからダウンロードすることができます。その年分の確定申告書の書式や控除額を計算するための書式です。

住宅ローンのイメージ

住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

住宅ローンを借り入れた金融機関から送られてくる、年末時点でのローン残高が記載された証明書のことを指します。だいたい、毎年10月頃に送付されています。

土地および建物の登記事項証明書

最寄りの法務局出張所に申請して入手することができます。ペアローンを組んでいる場合、夫婦ともに確定申告を行うときでも1部のみの用意で問題ありません。

確定申告の手続きの流れ

それでは、確定申告の手続きの流れについて見ていきましょう。

確定申告に必要な書類を集める

先ほどご紹介した必要書類を、確定申告を行う日までにすべて準備します。必要書類はさまざまな場所で取り寄せる必要があり、書類によっては金融機関や勤務先を介すことになります。したがって、時間に余裕をもって事前に集めておくことをおすすめします。

管轄の税務署で確定申告書を受取り、必要項目を記入して提出する

住宅借入金等特別控除額の計算明細書を参考にして、割り出した控除額を確定申告書に記載します。必要書類をすべて揃えて、確定申告書とともに税務署の窓口に提出しましょう。記載方法などが分からない場合、税務署に相談することも可能です。ただし、この時期はほかの相談者で窓口が混雑する可能性もあるため、インターネットで記載例を参考にするなどの方法もおすすめです。

還付金が発生した場合、指定した口座に振り込まれる

もしも、還付金が発生した場合は、書類に記載した預貯金口座にお金が戻ってきます。振り込まれるまでの期間は通常1ヶ月〜1ヶ月半程度、オンラインでの申告の場合は3週間程度が目安です。

リノベーションされた部屋

2年目以降の手続き

サラリーマンなど、給与所得者の場合は1年目の手続きだけ済ませれば、2年目以降は勤務先の年末調整で手続きを行うことが可能です。自営業者で1年間の所得が48万円を超える場合は、住宅ローン控除の有無に関わらず毎年確定申告をしなければなりません。住宅ローン控除の対象者は、その際に「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」、「住宅ローンの年末残高証明書」を添付して手続きをします。

住宅ローン控除で覚えておきたいポイント

住宅ローン控除を受ける予定の方は、事前に押さえておきたいポイントがいくつかあります。

入居した年に住宅ローンを契約する

入居と住宅ローンの契約日は、同じ年内に行ったほうがよいでしょう。入居の年に住宅ローン契約をしていない場合、その年は住宅ローン控除の対象にはならないというデメリットが発生します。特に、入居や住宅ローン契約が年末年始にかかりそうな場合は要注意です。

借り換えをしても控除が受けられる

住宅ローン控除は、当初借入していた金融機関から別の金融機関に乗り換えてローンを組み直しても控除が受けられます。今借りているローンを一括で返済する「借り換え」でも、条件を満たしていれば控除を継続することができるのです。

リノベーションされたキッチン

1年目に確定申告をする

住宅ローン控除を受ける場合、必ず1年目に確定申告をしましょう。もし、確定申告を怠った場合、住宅ローンの控除は受けることができませんが、控除が発生する翌年の1月1日以降の5年間で手続きをすれば、過ぎてしまった分の控除を受けることができます。

ふるさと納税のメリットが減る可能性がある

ふるさと納税で控除を申請する予定のある人は、住宅ローン控除との併用でメリットが減る可能性があります。ふるさと納税と住宅ローン控除は両方申請しても問題ありませんが、その場合、先にふるさと納税で行った寄付金額が所得税から控除されます。住宅ローン控除は、この残りから控除することとなるため、もし所得税から控除しきれなかった場合は、住民税から控除することとなります。しかし、控除の上限額は決まっており、これを超える分は控除できないため、両方の控除を最大限受けられるとは限らないということです。

リノベーションされたLDK

まとめ

住宅ローン控除は、条件を満たせば誰でも申請することができます。新築の物件に限らず、中古住宅のリノベーションも対象になるため、条件をよく確認して、自分が当てはまるか確認してみましょう。今回ご紹介した確定申告の流れや注意点などをおさえて、余裕をもって準備してください。

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