木造2階建て・87㎡(平米)、築25年の戸建てを実家として引き継ぎ、夫婦とお母様、ワンちゃん2匹で暮らす住まいです。お母様の介護をきっかけに、暮らしやすさとデザイン性の両立を目指してリノベーションしました。土間玄関の収納から趣味の部屋まで、こだわりの詰まった住まいをご紹介します。
階段の位置を変えてつくった、玄関の「ワンちゃんトイレ」と大容量収納
玄関は、もともと左手にあった階段を右手へ移設。できた階段下のスペースには、ワンちゃん用のトイレスペースを設けています。


玄関左手は、もとの階段・廊下部分をシューズインクローゼットに変更。高さを変えられる可動棚に加え、床下のボックスにはケルヒャーなど大きなものも収納可能です。朝の散歩で使う上着やワンちゃんの小物も置きやすいよう、棚の配置まで設計したそうです。

安心して様子を見守れるシャワールーム
水回りの床は、田島ルーフィング製のフロアタイル。下にFRP防水を施し、勾配をつけることで水洗いもできる仕様にしています。犬の爪や車椅子でも傷がつきにくく、汚れが目立ちにくい素材をサンプル段階で確認して選んだそうです。バリアフリーのため、掃除機もモップがけもそのままかけられる仕様です。

浴室は、生活の中で湯船をほとんど使わないという理由からシャワールームに変更。空いたスペースはキッチンのパントリーに充てています。
シャワーブースはLIXIL製のガラス張りタイプを採用。お母様や夫さんが入っている時に、妻さんが様子を確認できる安心感を重視した選択だといいます。

「シャワーするだけって考えてたんですけど、デザインもうちの全体的なコンセプトにはまってくれた」と夫さん。身長180cm・体重80kgの夫さんでも、ベンチに座れるほどの広さがあります。
コストバランスを考えた壁付けタイプのキッチン
キッチンは、当初から希望していた壁付けタイプにしてコストを抑えたといいます。食洗機も、前の家で使ったことがなかったため見送ったそうです。その分の予算は、こだわりの強かったシャワールームに回しています。

隣接するパントリーは奥行きと可動棚の段数を確保し、キッチン用品だけでなく掃除用品も収納できる大容量です。

車椅子のまま食卓へ。抜けない柱を生かしたバリアフリーリビング
リビングは、お母様の部屋から車椅子のまま食卓につけるよう設計。ダイニングテーブルは置かず、車椅子の通行幅を考慮したカウンターを造作しています。その結果、ダイニングスペースは小さめに、リビングスペースは広めに取り、バリアフリーで移動しやすくしています。

木造・築25年の建物をスケルトンにし、構造計算をしたうえで抜けない柱2本はそのまま残したそうです。柱の位置に合わせて動線を組み直し、現在の間取りに落とし込んでいます。テレビ正面はもとは窓でしたが、壁に変更してテレビ配線をすべて埋め込みました。


「もしも」に備える、介護仕様の設計
お母様の部屋は、もとは祖母の部屋だった場所です。祖母の介護経験を踏まえ、腰高だった窓を掃き出し窓に変更。緊急時にストレッチャーで運び出しやすくするための変更です。室内には洗面も設置し、お母様と夫さんどちらでも使いやすい高さに調整。床材はリビングと同じフロアタイルで統一しています。

トイレはお母様の部屋から直接アプローチでき、手すりも設置。扉は両開きの2枚仕様にし、お母様の部屋側とリビング側のどちらからも入れるようにしました。片側がふさがっても対応できるようにという配慮です。


趣味を満喫するシアタールーム
2階の趣味の部屋は、ホームシアターとして真っ黒な内装に。配線はすべて壁の中に収め、コンセントもオーディオ向けの仕様を採用しています。

棚は下北沢の工房にオーダーメイドで依頼し、現場での採寸から仕上げまで並行して進めたそうです。レコードはおよそ2,000枚収容でき、上にスピーカーも置ける設計です。音響はドルビーアトモス9.1chで、スピーカー9台とウーファー1台を装備。照明はフィリップス製のテープライトを採用し、スマホで色や明るさを変えられます。

出窓だった2箇所には断熱・防音パネルを設置し、窓を完全にふさぎました。防音のほか、外気温の影響を受けにくくする狙いもあります。

扉2枚で仕切る、夫婦それぞれのワークスペースとWIC
夫さんのワークスペースは、もとの階段とクローゼットのスペースを転用。子供のころから思い描いていた「奥の空間を部屋にしたい」という夢を実現した場所だといいます。ズームミーティングもでき、DJブースも置けるスペースに。

階段正面のウォークインクローゼットは、奥行きも高さも十分な広さです。上段には布団や冬物を収納し、夫婦それぞれのエリアに分けて服を収納。介護用のおむつのストックなども、このスペースに収まります。

もとは寝室と夫さんの仕事部屋を隣接させる案でしたが、間取りの都合と在宅時の音を考え、WICを間に挟む形にしています。扉を2枚設けることで音を遮断し、互いの音が気にならない設計です。
寝室はWICを確保するため、もとの広さから少し縮小。寝るスペースとワンちゃんの寝床があれば十分という考えだそうです。

寝室を通って妻さんのワークスペースに入る間取りです。妻さんは「シンプルに机を1枚置きたい」という要望のみを伝え、将来の用途変更にも対応できるようにしたといいます。

リノベーション会社は「面白い感じにしてくれそう」が決め手
きっかけは、お母様が怪我をして介護が必要になったことだったそうです。リノベる。を含め複数社に声をかけたといいます。他社からはもともとの間取りと大して変わらない提案を受けたそうです。そのなかで、リノベるの事例を見て、「この方々だったら面白い感じにやっていただけるのかな」と感じ、依頼を決めたといいます。
プランは提案を一から求める形ではなかったそうです。夫さんが長年温めていたイメージを伝え、「どこまでできるか」を設計担当と詰めていく進め方だったといいます。
内装をダークトーンにした背景には、新築を検討する中で見た家がどれも似た印象だったことへの反動があるそうです。「この家で最後まで暮らすなら、一度好きなようにつくりたい」という思いを妻さんに伝え、了承を得てリノベる。に相談したといいます。