築39年、82㎡(平米)の中古マンションをフルリノベーションした、ふたり暮らしのお住まいです。夫さんは設計士、妻さんは食品メーカーに勤務しており、北欧のヴィンテージ家具を集めるのがふたりの楽しみだといいます。「一生ものの家具を置ける住まいがほしい」という想いから、住まいづくりが始まりました。余白を生かしたシンプルな1LDKが完成しています。今回は、家具を主役に据えた素材選びと、暮らしを豊かにする土間・廊下の使い方をご紹介します。
靴収納だけじゃない。用途を広げる、広々土間の玄関
玄関は土間を広く確保し、収納・ワークスペース・ディスプレイなど複数の用途で使える設計です。靴や工具、スーツケースをしまう収納のほか、汚れやすいキャンプ道具専用の収納も別に確保。土とふれるものと衣類を分けて収納できるのが、広い土間ならではのメリットだといいます。


土間を広くとったのは、キャンプ帰りのテントや傘を干すためだそう。
もとは土間脇に個室があった間取りでした。その部屋をなくして土間を広げた結果、窓からの採光も得られる明るい玄関になっています。
幅1.6mの「ビッグフリースペース」から続く、大容量ウォークインクローゼット
玄関から続く廊下は、幅1.6mというゆとりある広さを確保しています。
部屋をなくして土間を広げると、単調な長い廊下になってしまう懸念があったといいます。
リノベる。の設計士と相談を重ね、あえて幅広のフリースペースとして設計したそうです。

友人の子どもが走り回れるほどの広さがあり、日差しも心地よく差し込む空間です。
廊下の先には両面大容量のウォークインクローゼットがあります。
扉はつけずカーテンで仕切ることで、湿気がこもりにくい工夫をしているそうです。

将来の住み替えも見据えた、ミニマルな寝室
家族が増えた際の住み替えも想定し、寝室は1部屋のみに設計しています。
シングルベッド2台を置いても、両端を歩ける広さがあります。面には室内窓を2つ設け、隣接するミニバルコニーからの風通しを確保。
ガラスにはモザイク調のものを選び、生活感を程よく隠しています。

木部の塗装を白に変えるかどうか、妻さんが検討中だそうで、住まいづくりは今も少しずつ続いています。
家具を主役にするための「引き算」キッチン
リビング側から見えるキッチンは、吊り棚もカウンターもないフルフラットのオープンタイプです。人を招いた際にキッチンにこもりたくない、将来子どもの様子を見ながら料理をしたい、という思いから採用したそうです。

当初はステンレス天板を検討していましたが、透明感のある質感が「部屋を白で統一したい」という理想に合ったといいます。
壁には油汚れに強い大判タイルを施工し、目地も白でまとめることで素材を主張させすぎない工夫をしています。

家具に「あわせて」設計した、細部までこだわった飾り棚
キッチン横の飾り棚は、あえて高さをずらして設計しています。
キッチン側は立ち作業に適した80〜90cm、ダイニング側は座り作業に適した70cmに設計。
棚の側面には木のテープを貼り、円形のダイニングテーブルとテイストを合わせました。
ダイニングテーブルは直径1,200〜1,250mmほどで、椅子を足せば6人ほど囲めるサイズだといいます。チェアはヴィンテージのものをあえて種類を揃えず、1脚ずつ集めたそうです。

隣接する床はモルタル敷きのインナーテラスとし、観葉植物を育てるスペースにしています。

北欧ヴィンテージ家具の心地よさ
リビングにはテレビを置かず、プロジェクターで動画配信サービスを楽しむスタイルです。
投影する壁を変えながら、過ごし方を柔軟に切り替えられるといいます。
家具はアルテックの1人掛けソファやデンマーク製ヴィンテージの棚などを、1点ずつそろえたそうです。「ネットでいいねと思ったものを、実際に見に行って選ぶ」という積み重ねだといいます。

「一生ものの家具を置ける住まいを」。北欧家具から始まった住まいづくり
住まい探しのきっかけは、ふたりが好きな北欧家具だったといいます。
賃貸では内装に合わせにくく、一生使える家具を買いづらいという悩みがあったそうです。
北欧家具が好きだったのは妻さんが先で、夫さんは次第にその魅力に引き込まれていったといいます。
夫さんは設計士で、妻さんのきょうだいも建築系の仕事をしています。今回はダイニングテーブルなど気に入った家具を先に決め、それに合わせて内装や造作棚のデザインを設計。廊下の幅や洗面の位置なども、リノベる。の設計士やデザイナーと相談しながら少しずつ形にしていったそうです。