壁式構造の壁はそのまま残して。築49年・51㎡(平米)の団地で叶えた、都会的なひとり暮らしリノベーション
面積:51㎡
間取り:ワンルーム
建物:団地
完工時築年数:築49年
家族構成:ひとり暮らし
築49年、51㎡(平米)の団地の一室をリノベーションしたお住まいです。壁式構造のため大きな間取り変更はできませんでしたが、玄関の壁を取り払い、回遊動線のある開放的な空間を実現しています。団地と聞くと、古さや狭さをイメージする方も多いかもしれません。しかし今回ご紹介するお住まいは、そんなイメージを覆す都会的で洗練された空間です。
壁を取り払って叶えた、回遊動線のある玄関
玄関のスペースは、元々ひと部屋の個室でした。壁を取り払い、すっきりとした土間へとつくり替えています。玄関からはLDK側にも寝室側にも行き来できる、回遊動線を採用しています。

靴棚には靴のほぼすべてを収納できるといい、一番上の棚には鍵や財布を置いているそうです。紙袋やチラシもすぐに片づけられるよう、専用のスペースを用意しています。

左手には作り付けの大きな姿見を設置。「最後に全体を見てから出かけられる」とお施主さまは話します。

玄関照明は、デザイナーが提案した個性的な4灯タイプのライトを採用。

段差部分のかまちには木板を張り、空間のアクセントにしました。かまち部分にひと工夫加えるのは、ルームツアーでもよく見られる楽しみ方の1つ。

正面にはアンティークのインテリアを飾り、帰宅時の楽しみになっているそうです。

壁式構造を生かした、インテリアで彩るLDK
リビングの壁には、団地特有の壁式構造がそのまま残されています。壁式構造は壁自体で建物を支える工法のため、室内の壁を撤去できません。そのため本来ワンルームにしたかった空間を、LDKと寝室でゆるやかに仕切る形にまとめています。

「結果的に良かった」とお施主さまは振り返ります。壁にはボルトやナットの跡をあえて残し、素材そのものの質感を楽しめる仕上げにしました。
床材にはマーモリウムというシート状の素材を採用。タイルのような継ぎ目がなく、すっきりとした印象に仕上がっています。
当初は標準仕様の木目調フローリングを検討していたそうですが、グレーの床を希望して比較を重ねたといいます。最終的にたどり着いたのが、自然素材の質感が気に入ったというマーモリウムでした。
壁面には白い大きな本棚を4台並べ、本を収納しています。書店に勤めていた頃のバックヤードと同じスチールラックだといい、古いものは30年ほど使い続けているそうです。

照明はダクトレールにスポットライトを配置し、色はシルバーで統一しました。カーテンレールも同じくシルバーでそろえました。
黄色いソファーは「NOYES」で購入したもので、リノベーションのタイミングで新調したそうです。

座面の形やオットマンの位置、ファブリックまで選べるタイプだといい、画像検索で見つけてショールームで決めたといいます。
ダイニングテーブルとスツールは脚がスチール製で、マグネットが使えるのが便利だそうです。ダイニングチェアはAmazonのタイムセールと、古道具屋で見つけたものを組み合わせています。

ガスストーブも設置しました。団地の壁にはガス管が直接来ているため、以前の職場での使用経験から迷わず導入を決めたそうです。「つけた瞬間の暖かさが好き」だといいます。

窓は内側にもう1枚サッシを加えた二重窓で、外の音も気にならなくなったそうです。サッシの枠は、かまちやスツールと同じ濃茶色に塗装しています。

窓際にはハンガーパイプを設置し、部屋干しにも活用。休日は外干し、平日は日中の外出中に室内で乾かしているといいます。
最小限の設備でまとめた、シルバー基調のコンパクトキッチン
キッチンは壁付けタイプで、下部が開いた特徴的なデザインです。サンワカンパニーの「オッソ」シリーズを採用し、横幅は約180cmとコンパクトにまとめています。

正面には造作の棚を設け、食器棚として活用しています。壁には正方形のタイルを一面に貼り、目地はグレーを選びました。フライパン用のフックも取り付けています。
収納はオープンタイプですが、ものが少ないため整理された状態を保てているといいます。「しまうと何を持っているか忘れて、同じものを買ってしまう」と話します。

海外風デザインの洗面スペース
キッチン隣の扉の奥には、トイレ・洗面・浴室が1つにまとまった水回り空間があります。扉やカーテンは設けず、オープンなつくりに。床の段差によって、空間の切り替わりを感じられるそうです。

壁にはキッチンと同じ正方形のタイルを採用し、海外のような印象を演出しています。

浴室は窓があり天井も高く、日当たりの良い浴室です。浴槽と給湯器は新しくし、壁は既存のまま塗装で仕上げています。

トイレは浴室の反対側にあり、配管の関係で床に段差がついています。便器はタンクレスタイプで、幅が最も狭いものを選んだといいます。


遊び心のある洗濯機スペース
水回りの隣には洗濯機スペースを設けています。当初は玄関付近に配置する案もあったそうですが、狭さと動線の悪さから見送ったといいます。最終的にリビング側へ移動し、洗濯物をすぐに干せる便利な配置になりました。

このスペースだけ、猫柄の壁紙を採用しています。「せっかくだから1箇所くらい遊び心を」と選んだそうです。
広々とした寝室と、大容量のクローゼット
寝室にもリビングと同じマーモリウムの床材を採用しています。グレーの床に水玉模様のカーペットを敷き、冬の冷たさをやわらげているといいます。もともとは子ども向けの商品だそうですが、模様と暖かさが気に入ってそのまま採用したそうです。

クローゼットは大容量のウォークインタイプです。以前の住まいでは押入れに服が入りきらず、同じ服を買い直すこともあったといいます。

「すべて吊り下げて手が届く範囲に」という希望をもとに設計されました。クローゼット内の照明は当初不要だと思っていたそうですが、実際につけてよかったといいます。
ウォークインの脇にはハンガーフックを追加しました。帰宅時にすぐ荷物を掛けられるよう、お施主さま自身が後から取り付けたそうです。

赤いラウンジチェアはIKEAのもので、色の効いたインテリアです。

「以前の住まいは畳の部屋で色を抑えていたが、今は少しずつ色を取り入れている」と話します。
玄関にも姿見がありますが、着替えと靴を合わせて確認したいと、寝室にも大きな鏡を後から追加したそうです。ベッド向かいのカウンターは、もともと靴棚として4枚用意されたものの1枚です。

靴の数が少なく余ったため、IKEAの脚を付けてサイドテーブルとして活用しているといいます。充電やイヤホンの収納など、日常使いの置き場になっているそうです。
団地とは思えない、都会的で洗練された空間へ
築49年の団地とは思えない、都会的で洗練された空間が広がる住まいです。壁式構造という制約がありながらも、回遊動線や素材選びで暮らしやすさを実現しています。グレーとシルバーを基調にした無機質な空間に、色のあるインテリアを少しずつ取り入れる楽しみ方も印象的です。中古の団地だからこそ、自分らしい住まいづくりができることを教えてくれる事例です。


















