築39年、74㎡(平米)の中古マンションを2LDK+WICにリノベーションしたお住まいです。夫さんは元オフィスデザイナー、妻さんもオフィス家具の営業を手がけていた、空間デザインのプロのご夫婦。住まいづくりにあたって徹底的に生活感を排除することにこだわったといいます。壁から壁までの造作キッチンをはじめ、隅々まで工夫が詰まった住まいをご紹介します。
土間から続く、生活感のないウォークインクローゼット
玄関扉を開けると、奥行き約4m20cm・幅約1m17cmの広い土間が続きます。靴棚はあえて扉をつけず、コスト削減と湿気対策を兼ねたそうです。

来客時に最初に目に入る場所だからこそ整えておきたいという気持ちになる、と妻さんは話します。
棚板は、以前から持っているリビングのヴィンテージテーブルの色に合わせた赤茶色。壁の一部にはマホガニ材を採用し、住宅らしさを抑えたアイキャッチに仕上げています。
照明はオーデリックのもので、角度を変えられる関節照明のようなやわらかい光が特徴です。マンション元々のガラスブロック窓も生かし、玄関全体がショップのような空間になりました。

土間の奥はウォークインクローゼットへと続きます。広さは3.3帖、幅約250cmとゆとりを持たせました。


「作り付けの収納が少なくて、洋服をかけられなかった」お施主さまは以前の賃貸での悩みを振り返ります。今はボビーワゴンに身支度道具をまとめて収納し、来客用のコートフックも備えました。

生活感を消す仕掛けが詰まった洗面
ウォークインクローゼットを抜けた先には洗面スペースがあります。

鏡は収納付きを避け、横一面の大きな鏡を採用。家族で並んで身支度ができる設計だといいます。正面の壁は土間と同じタイルを採用し、床材は土間から続けて塩ビタイルで統一しました。洗面台の下はあえて収納をつくらず、ゴミ箱ひとつだけですっきりと見せています。
白い壁とギャラリーのような床が生む、洗練されたLDK
LDKは15帖の広さ。1歳のお子様がいるとは思えないほど洗練された空間です。

壁は白で塗装し、圧迫感を抑えながら家具が映えるように仕上げました。床材は塩ビタイルで、美術館のようなコンクリート風の質感を数十枚のサンプルから選び抜いたといいます。窓まわりはバーチカルブラインドを採用し、洗練度をさらに高めました。
大阪在住時代に購入したヴィンテージのエクステンションテーブルを、リビングの主役に据えました。

テーブルの色や大きさに合わせて、空間全体を設計したそうです。広げれば8人ほどが座れるサイズで、黒いYチェアを組み合わせています。
ソファーは正面の壁を向けて配置し、壁にはプロジェクターで映像を投影。高さ240cm・横幅367cmの壁面はあえて何もつけずに残しました。

こだわり抜いた、壁から壁までの造作キッチン
LDKでふたりが最もこだわったのが、壁から壁まで幅約4mにわたる造作キッチンです。

アイランドキッチンも検討しましたが、リビングを圧迫してしまうと判断したそうです。そこでリノベーションでしかつくれない造作キッチンを選びました。
天板はステンレスの一枚ものと決め、最後までぶれずに貫いたそうです。キッチン正面のパネルはツールボックス社のマットな塗装風仕上げで、継ぎ目が目立たないよう施工を依頼したといいます。換気ダクトは露出させず、すっきりとした見た目を優先。シンクの位置は引き出しのリブとセンターを合わせるなど、夫さんのこだわりが随所に反映されています。
天板の色味はダイニングテーブルと調和するよう、何度もサンプルを取り寄せて決めたそう。

生活感の出やすい家電はキッチン横のパントリーにまとめて収納。インターホンもこの中に隠しました。

空間デザインのプロにも安心、リノベる。のサービス
空間デザインの仕事をしているふたりでも、マンション選びに必要な知識は別物だったといいます。リノベーションに向いた物件かどうかを、自分たちだけで見極めるのは難しいと感じたといいます。そこで物件探しから資金計画、設計・施工までワンストップで任せられる会社を選びました。
男の秘密基地、テイストを変えたワークスペース
廊下の奥、これまでとはがらりとテイストを変えた空間が夫さんのワークスペースです。
在宅ワークのほか、趣味のバンド演奏の練習にも使う部屋で、ベースやギター、キーボードなどの楽器が並びます。

壁は明るいグレーを基調に、楽器を掛ける面だけダークグレーのアクセントを効かせました。スイッチやコンセントなどの金具類はすべて黒で統一し、色数を抑えているそうです。
天井はこのエリアだけコンクリート現しのまま。解体確認できれいな状態が見つかったことから、塗装をやめて残したといいます。
コンクリートと木目が調和する、広々とした寝室
ワークスペースの隣にある寝室は約6.9帖と広々としています。

壁は解体時にきれいな状態で見つかったコンクリートをそのまま現しに。デザイナーの提案を受けて採用したそうです。床材は木目調の塩ビタイルを選択。お手入れのしやすさを考えながら、コンクリートの質感と合う色味を何度もサンプルを取り寄せて決めました。
ベッドはセミダブルとシングルの2台を配置。将来、間仕切りをつくって子供部屋にする計画を見据えた選び方だといいます。ルイスポールセンのPH5をはじめ、以前の住まいから使い続けている照明や雑貨も随所に飾られています。

シンプルながら暮らしやすい、水回り
トイレは、明るさを抑えた間接照明のような灯りを楽しんでいます。

洗面を廊下側に出したことで、脱衣スペースは洗濯機と最小限の収納だけのシンプルな空間になりました。

洗濯機の上にワイヤーを渡し、隣の天板で畳めるようにしました。干す・畳む・しまうが1か所で完結する動線です。
ふたりの「好き」を詰め込んだ、生活感のない住まい
物があふれず片づけやすい住まいは、家族の暮らし方まで変えたといいます。空間デザインのプロならではの視点で徹底的に生活感を排除しながらも、暮らしやすさへの工夫も忘れない住まいが完成しました。中古マンションリノベーションだからこそ叶えられた、ふたりらしい住まいづくりです。