使い方無限大の「万能小上がり」。築50年・75㎡(平米)の中古マンションで叶えた、子どもの成長に寄り添うシンプルな住まいづくり
面積:75㎡
間取り:1LDK+WIC
建物:マンション
完工時築年数:築50年
家族構成:ファミリー(お子様1人)
築50年、75㎡(平米)の中古マンションを1LDK+ウォークインクローゼットにリノベーションしたお住まいです。現在4歳になるお子様が生まれるタイミングでリノベーションをされたそうです。見どころは、作り込みすぎずシンプルに整えられた設計と、使い方無限大の万能な小上がりです。リノベーションして終わりではなく、この先もずっと住まいが育っていく工夫をご紹介します。
散らかっても気にならないシューズインクローゼット
玄関ドアはすりガラスがあしらわれたレトロな佇まい。築50年の物件ならではの歴史を感じさせるつくりです。

玄関スペースの横には、シューズクロークが設けられています。靴のほか、ベビーカーやスーツケースまで収納できるつくりです。

壁で仕切られているため玄関からは目隠しになり、多少散らかっていても気にならない設計になっています。出発前に使う時計や香水はここに置き、身支度をしてから靴を履いて出かける動線だといいます。
シューズクロークの続きには、ウォークインクローゼットが備えられています。両面にコートや洋服をかけられるつくりです。


恐竜の足跡と、こだわりの床材が語るリビングダイニング
広い廊下を抜けた先に、リビングダイニングの扉があります。床には、怪獣の足跡のようなマークが残されています。息子さんが1歳の誕生日を迎えたとき、恐竜が好きだった思い出から貼ったステッカーの跡だといいます。


リビングダイニングの床材には、フローリングの中でも珍しい色味が選ばれています。
設計担当者に提案してもらった色の中から、生活になじみながらも一般的なフローリングらしくない色を選んだそうです。「この色を選ぶ人は初めて」と設計担当者に言われるほど、個性のある選択だったといいます。
家族の成長に寄り添う、アイランドキッチン
リビングダイニングキッチンはLDKだけで24.5帖ほどあり、開放的な空間になっています。部屋全体は白・グレー・茶色でまとめられ、お子様の成長にあわせて雰囲気を変えやすいテイストです。作り込みすぎずシンプルに整えることは、当初からふたりで考えていた方針だといいます。
LDK全体を見渡せる位置には、対面式のアイランドキッチンが配置されています。キッチン脇の壁にはニッチ収納があり、夫さんが趣味で撮影した写真やお子様の作品が飾られています。飾るものは家族の成長とともに少しずつ変化してきているそうです。

キッチン本体にはクリナップのラクエラシリーズを採用。背面のカウンターは一続きに造作され、キッチン収納と作業スペースを兼ねる仕様です。

もともとはパントリーの造作も検討したものの、動線が塞がってしまうことから、背面に収納棚を設ける形に落ち着いたといいます。背面カウンターの棚には、以前の住まいから使い続けている無印良品のユニットシェルフが収まっています。
キッチンだけリビングダイニングよりおよそ10cmほど高い段差がつけられています。フラットにすることもできますが、あえて段差を残すことでリビングダイニング側の天井を高く感じられるようにしたといいます。「1段上がっていることで空間が区切られる感じがあり、私は特にここで作業することが多いので、高い視点から色々見えて非常に良かった」とお施主さまはいいます。
配膳や片付けがしやすいダイニングスペース
キッチンのすぐ横にダイニングスペースが配置され、配膳や片付けがしやすい動線になっています。

ダイニングテーブルと椅子は、引っ越しのタイミングで新たに購入したもの。お子様用の椅子は人気が高いもので、次のお子様が生まれた際にはベルトを取り付けて使うことも想定しているそうです。
背面には、キッチンの背面カウンターと同じ高さでカウンターが続いています。将来的には夫さんのワークスペースの反対側に、妻さん専用の書斎のようなスペースをつくる想定だといいます。
使い方無限大の「万能小上がり」
リビングに入ってすぐ左手にあるのが、この住まい最大の見どころである小上がりです。広さは2.5帖ほど、素材には畳を使い、落ち着いた雰囲気に仕上げられています。


「実家に元々こういう小上がりがあって、という思い出があったので、なんとなく自分の家にも欲しいと思っていた」とお施主さま。
小上がりによってできる段差は、そのまま収納として活用。部屋数が限られているため、ロールカーテンで仕切れるようにもしているといいます。祖母が訪れた際や友人が遊びに来た際には、ゲストルームとして活用しているそうです。
最も目を引くのが、桜をモチーフにした組子細工の欄間。ホテルのリッツ・カールトンで採用されているものと同じ意匠だといいます。欄間の向こう側は寝室で、窓がなく光や風が通る唯一の開口部です。光を通したい側と暗くしたい側で使い分けられるよう、寝室側にはやや厚手の遮音カーテンを設けているといいます。

小上がりは引っ越し後およそ5年のあいだに、使い方を変化させてきた場所でもあります。お子様が赤ちゃんの頃はベビーゲートで枠を区切り、畳の上にジョイントマットを敷いて赤ちゃんスペースとして使用。つかまり立ちを始めた頃には範囲を少しずつ広げていったといいます。お子様が4歳になった今は、妻さんがヨガをするスペースとして使われているそうです。将来的には、この場所を本棚にしたいという思いもあるといいます。
お子様の好奇心をくすぐる、リビングとインナーテラス
リビングの家具は、以前の賃貸住まいから使い続けている小さめのものをそのまま使用。お子様が男の子で活発なこともあり、今の家具でしばらく過ごし、将来買い替えて模様替えをしたいそうです。

バルコニー側のスペースは、インナーテラスとして活用されています。床材は白いタイルを使い、リビングの床と切り替えているのが特徴です。

このスペースでは観葉植物を育てるほか、メダカを飼育。近くの熱帯魚店の店主から購入したメダカが、そこからどんどん増えていったといいます。お子様が生まれたばかりの頃は、このスペースで水遊びをしてから室内に上がることもあったといいます。濡れた足をインナーテラスで拭いてから室内に入れる、便利な緩衝スペースとしても活躍しています。
将来的に仕切れる寝室の工夫
寝室はシングルベッドとセミダブルベッドを並べ、家族全員でひとつの部屋に寝ているといいます。将来的には、部屋の中央あたりで2部屋に分ける想定のため、あらかじめ2箇所に扉が設けられています。寝室にはカウンターも設けられ、就寝前の読書や充電に使えるようになっています。

床材にはヘリンボーン柄の塩ビシートを採用。リビングとは異なる雰囲気で、就寝への切り替えを意識した仕上げだといいます。
こだわりの水回りと、写真ギャラリーになる廊下
寝室の向かいにはトイレスペースがあります。壁紙は夫さんが選んだといい、落ち着いた雰囲気のダークグレーのクロスが使われています。

廊下は、リビング側の塗装仕上げとは異なりクロス壁紙を採用。家族写真を飾れるよう、ピンが刺せる壁紙をあえて選んだそうです。廊下の一部には、マンションの躯体現しが残されています。

洗面スペースには、幅150cmの洗面台を設置。メラミン素材のため、つなぎ目のない一拭きできる仕様になっています。鏡は三面鏡で、裏面がすべて収納として使えるつくりです。洗顔料や歯ブラシをしまえるため、洗面台の上を生活感なくすっきりと保てる工夫だといいます。

壁にはモルタルを塗装。シンプルにまとめたいという思いから、掃除のしやすさも考えて選んだ仕上げだそうです。ハンガーパイプには黒いアイアン素材を採用し、引き締まった印象を添えています。
住まいとともに、これからも育っていく暮らし
作り込みすぎずシンプルに整えた設計と、使い方が無限大に広がる万能な小上がりが、この住まいの大きな特徴です。小上がりはゲストルームから赤ちゃんスペース、そして今はヨガのスペースへと、家族の成長にあわせて姿を変えてきました。将来は本棚にしたいという思いもあり、この先も住まいが育ち続けていくことがうかがえます。リノベーションは完成がゴールではなく、暮らしとともに変化していくものだと感じさせてくれる住まいです。


















