玄関を上がればすぐリビング。築46年・55㎡(平米)の中古マンションで叶えた、廊下をなくす間取りとミッドセンチュリーな住まいづくり
面積:55㎡
間取り:2LDK
建物:マンション
完工時築年数:築46年
家族構成:ファミリー(お子様1人)
築46年、55㎡(平米)の中古マンションを2LDKにリノベーションしたお住まいです。3人家族で55㎡と少しコンパクトながら、空間を最大限に活用することで、窮屈さを感じさせない暮らしを実現されています。見どころは、物件の特徴を生かした個性的な間取りと、ファミリーでも55㎡の物件を選んだ理由です。リノベーションから5年以上が経った今の暮らしぶりもあわせてご紹介します。
窮屈さを感じさせない、土間の工夫
玄関を入ってすぐの土間スペースは、55㎡の住まいの中でもかなり贅沢に取られています。
広さにして2.3帖ほど、奥行きは170cmほど確保されています。

自転車を置いたり、ベンチを置いて靴の脱ぎ履きをしやすくしたりと、暮らしに合わせて自由に使えるスペースです。「みんなが不自由なく脱ぎ履きできたり、物を置けるスペースが玄関にあると生活が少し楽になるかなと思って、広いスペースがいいと伝えました」と妻さん。大人が何人か一緒でも靴の脱ぎ履きに困らない広さで、家族で帰ってきてもバタバタしないといいます。
奥行き70cmほどの収納と、20〜30足ほど入る靴棚は造作をしています。書類や防災グッズなど、何でも収納できるスペースとして活用されているそう。

収納の高さは腰高ほどに設計。玄関を入ってすぐに視界が抜け、実際の広さ以上に開放感を感じられる工夫だといいます。

照明のスイッチや、コート掛け用のフックも、あとから自由に取り付けられるようベニヤが仕込まれています。

もとは個室として使う想定だったスペースだといいますが、窓が北側を向いていて暗くなりやすいことから、独立した個室にするより開放的な土間にすることを選んだそうです。
ヘリンボーンの床から始まった、ミッドセンチュリーなLDK
玄関を上がるとすぐにリビングダイニングが広がる間取りです。一般的な住まいでは、玄関から廊下を抜けた先にLDKがあることが多いです。こちらのお住まいでは、廊下をなくし、玄関を上がってすぐLDKにしたことが、55㎡を有効活用する最大のポイントといいます。


南向きの個室側からも光と風を採り込めるよう、ルーバー仕様の室内窓を設けているのも特徴です。「玄関側と南側の両方を開けると風が抜けて、暖かい季節でも空調なしでも過ごせます」と夫さん。
床材にはムク材のヘリンボーン張りを採用。天井は解体時の躯体をそのまま塗装せずに残し、ヴィンテージ感を演出しています。

「床をヘリンボーンにしたいよねという話から始まって、好きだったミッドセンチュリーやヴィンテージの雰囲気になっていった」と夫さん。一方で、将来の住み替えや売却のしやすさも踏まえ、テイストを出しすぎない工夫もしています。壁の色はシンプルに抑え、家具で雰囲気をつくる方針にしたといいます。
テイストをつくる、こだわりのインテリア
このリビングは、デザインを作り込みすぎず、好きな家具を選ぶことでテイストをつくっているといいます。
ダイニングテーブルはあえて角のないラウンド形状を採用。限られたスペースでも圧迫感が出にくい形だといいます。椅子はあえてバラバラのものを組み合わせ。

黒い座面のものはテーブルに元々ついていたもの、ほかの2脚はヴィンテージのスクールチェアを取り入れているそうです。
ダイニング上のペンダント照明は、目黒の照明店「ポイントナンバー39」で購入したもの。真鍮素材のため、経年変化で色味が変わってきているといいます。

ソファーは、背もたれを外すと1人分のベッドにもなるデイベッド仕様。来客時にはそのまま寝てもらうこともできるそうです。

壁にはギターも飾られています。賃貸では壁に重いものをかけづらいといいます。そこでリノベーションのタイミングで、あらかじめコンクリートへ下地を打ち込んでもらったそうです。
コンパクトでも使いやすい、ミニマルキッチン
キッチンも、55㎡の空間を有効活用するための重要なポイントです。工夫のひとつは壁付けで設置すること。スペースを広く使えるようにしています。

通常240〜280cmほどのキッチンを選ぶことも多い中、こちらは150cmのコンパクトなミニマルキッチンを採用しています。IHコンロは縦に2口並ぶ珍しい配置。「1口だと料理を常にあたたかい状態にできないので、2口欲しいと思って選びました」と妻さん。
キッチン前の壁には、平田タイルの緑色のタイルを使用。1枚ごとに表情の異なる、ムラのある風合いが特徴だといいます。

キッチン横には、冷蔵庫や洗濯機を置くユーティリティスペースを確保。パントリーや家事スペースとして活用しているといいます。

背面には無印良品のステンレスシェルフをカスタマイズして造作。天板はあえて発注せず、木材でLの字にカットしたカウンターを載せているそうです。「立ちながら軽くコーヒーを飲んだり、作業スペースとしても使えます」と夫さん。

キッチンと素材を揃えた、清潔感のある水回り
洗面スペースは、リビングから直接アクセスできる位置にあります。床材にはキッチンと同じ白い塩ビタイルを採用し、清潔感のある空間にまとめています。

洗面台にも、キッチンと同じ緑のタイルを使用。水栓は壁から出るタイプを選び、黒で統一感を出しているといいます。洗面ボウルは丸みのある四角形のタイプを採用。鏡やタオル掛けはアンティークの家具店などで見つけたものだといいます。「使い勝手よりも、愛着が湧くことを優先しました」と妻さん。
ゆったりとした、夫婦の寝室
寝室はご夫婦の個室で、6.8帖以上の広さがあります。クイーンサイズのベッドを置いても、横にデスクや収納スペースを置けるゆとりのある空間です。床材にはキッチンや水回りと同じ塩ビタイルを採用。


壁にはプロジェクターで映像を投影できるようにし、お子様が寝たあとに夫婦で映画を楽しむこともあるといいます。
秘密基地のような、お子様部屋
寝室の向かいには、4.1帖のお子様部屋があります。リノベーションで新たに収納スペースをつくり、洋服などをしまえるようにしています。部屋には2段ベッドを設置。お子様は普段下の段で寝ていて、上の段は親族が来たときのゲスト用にも使っているそうです。

「2段ベッドは秘密基地感があって面白い」と夫さん。お子様はこの部屋でゲームをして過ごすことが多いといいます。扉はあえて設けず、必要になったときに後付けできるようにしているのもポイントです。建具のコストを抑える工夫のひとつだといいます。
資産性も見据えた、55㎡のマンション選び
より広い物件も検討したかを尋ねると、広さの分だけリノベーションのコストもかかると考えたといいます。まずは限られたスペースでやれることを洗い出していったそうです。物件の決め手は、駅からの道のりや日当たり、最寄り駅周辺の街の雰囲気だったといいます。暮らしをイメージしやすかったことが、選んだ理由のひとつだそうです。「マンションを注文住宅のように好きにいじれる感じがよくて、住み替えの可能性も考えて、住み替えしやすいエリアで探しました」と夫さん。
ライフスタイルは変わっていくものだといいます。35年ローンを重く考えすぎず、自分たちの好きなように進められるメリットを大切にしたそうです。
コンパクトでも、豊かに暮らせる住まい
廊下をなくして玄関を広くとる間取りは、55㎡という限られた面積を最大限に生かす工夫です。ヘリンボーンの床や躯体現しの天井、家具で仕立てたミッドセンチュリーな空間も、この住まいの大きな魅力です。「55㎡と言われるとびっくりするかもしれませんが、狭さを感じることはないですし、子供と夫と一緒に過ごす時間もすごく多くなって、豊かな生活だなと思います」と妻さん。限られた広さだからこそ生まれた、家族の時間を大切にする暮らしがここにあります。


















