新築と中古どっちを買うべき?メリット・デメリットを紹介
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日本では新築住宅の人気が根強いですが、最近では中古住宅を買う人も増えてきました。新築住宅と中古住宅にはそれぞれどのようなメリット・デメリットがあり、どちらを購入すべきなのでしょうか?詳しく解説していきます。
新築 vs 中古 市場から見る流通トレンド
一般社団法人不動産流通経営協会の既存住宅流通量の推計値によると、2017年の全国ベースの流通量は59万6,884件(暫定値)に対し、新設住宅着工戸数は96万4,641戸となっており、全体に占める既存住宅流通比率は38.20%となっています。
このように、新築住宅が多数を占める状況は「新築神話」とも呼ばれています。「新築信仰」の背景にはライフステージの変化に対応した物件供給ができていない賃貸市場、依然として広がる新築向けの宅地造成、住宅ローン減税など新築優遇税制が挙げられます。
出典:一般社団法人不動産流通経営協会「既存住宅流通量の推計値(2017年暫定値)」(2019)
新築 vs 中古 日本と国際比較
総務省「平成25年住宅・土地統計調査」や国土交通省「住宅着工統計(平成26年計)」などを参考にしたデータによると既存住宅取引の海外における割合はアメリカ83.1%、イギリス87.0%、フランス68.4%です(アメリカが2014年、ほかは2013年データ)。いずれも日本より非常に高い割合であると分かります。
出典:国土交通省「既存住宅流通を取り巻く状況と活性化に向けた取り組み」(2013)
空き家問題に対する施策と推移
一方で、日本は少子高齢化時代に突入しており、古い住宅が空き家となる問題が深刻化しています。総務省統計局のデータによると、1983年には330万戸だった空き家の数は2018年には846万戸にまで増えています。
こうした流れを受けて、国は2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行し、空き家を減らすように施策を講じてきました。実際、先の総務省統計局の調査で2013年に空き家数が820万戸だったところから2018年に846万戸と微増に抑えられたのは、国の政策によるところが大きいと言えるでしょう。
出典: 国土交通省「空き家数の推移と種類別内訳」(2019)
出典:総務省「平成 30 年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計結果の概要」(2019)
出典:NPO法人 空家・空地管理センター「空き家数は過去最高の846万戸に(平成30年住宅・土地統計調査)」(2019)
新築神話の崩壊?
上記のように、国は政策として空き家対策に取り組んでいます。施策のひとつとして、中古住宅をリフォームやリノベーションによる既存住宅流通市場の活性化があります。
具体的には、リフォームやリノベーションに対して国が補助金を出したり、不動産売買をする際、重要事項説明時にインスペクションについての説明を義務付けるといったことが挙げられます。
一方で、アベノミクスによるインバウンド需要や、2021年に予定されている東京オリンピック開催などを理由とする地価や建設費の上昇により、都心を中心に新築分譲マンションの価格が高騰。新築分譲マンションの購入が難しくなり、中古を検討するケースが多くなっています。
こうした動きを背景に2016年から2019年にかけて、首都圏において新築マンションの供給戸数を中古成約戸数が上回るという逆転現象が起きました。
出典:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会「不動産市場動向データ集年次 レポ ート2018年」(2019)
新築と中古どっちがお得?
このような状況を知ったうえで考えてみたいのが、実際に新築と中古のどちらを買うべきなのかということです。新しいか古いかということだけでなく、物件に求める条件は個人のライフスタイルや考え方により変わるため、どちらがよいかひとことでは言えません。
住宅を購入する際には、新築と中古それぞれのメリット・デメリットをしっかりと把握し、どちらが自分に合っているかを判断することが大切になってきます。
新築のメリット・デメリット
まずは、新築のメリット・デメリットから見ていきましょう。
新築のメリット1:最新設備をそなえた家に住める
新築住宅のメリットとして挙げられるのが、最新設備をそなえた家に住めるということです。断熱性や気密性、耐震性など住宅の性能に関わる部分は年々進化しています。たとえ数年の違いであっても、新築住宅を購入した方が家の性能が高くなる可能性があります。バスルームやキッチン、トイレなどの住宅設備や換気システムにも同じことが言えるため、より新しい家の方が利便性や機能性が優れていると考えられます。
新築のメリット2:税制優遇を受けやすい
新築住宅購入には住宅ローン控除や固定資産税、不動産取得税などに関して手厚い税制優遇措置があります。これらの税制優遇は中古住宅であっても受けられますが、新築住宅の方が手厚くなっています。住宅ローン控除は「借入から13年間、住宅ローン年末残高の1%分、所得税と住民税から控除を受けられる(2020年3月時点)」という制度です。しかし、中古住宅で築年数25年超え(木造の場合、築20年超え)の物件の場合、耐震性能を有していることを証明できなければ住宅ローン控除の適用を受けることができません。
新築のメリット3:住宅の維持費用が安い
新築住宅は設備が新しく故障しにくいため修繕費がかからない、高気密・高断熱のため光熱費が安くなるなど、住宅の維持費用を安く抑えることができます。住宅購入を検討する際には、購入時の費用だけでなく、こうしたランニングコストまで考慮しておくことも大切です。
新築のデメリット1:価格が高い
ここからはデメリットについてお話します。新築には中古と比べて価格が高いというデメリットがあります。新品で住宅性能が優れているため価格が高いというだけでなく、新築というだけで10~20%程度割高になる「新築プレミアム」の要素も影響しています。
中古住宅の価格が基本的に市場の需要と供給で決められるのに対して、新築物件の場合は、モデルルーム設営費や広告費などを建築費に上乗せして価格を設定するという背景があります。これを「新築プレミアム」と言います。そのため、一度でも人の手にわたり中古物件となると価格がぐんと下がるケースが多くあります。
出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2018年)」(2019)
新築のデメリット2:入居後に発生するリスクを事前に知ることができない
新築は誰も住んだことのない物件のため、入居後に起こり得るリスクを事前に知ることができないことがデメリットと言えます。中古物件の場合は、騒音の度合いや修繕計画などについて事前に確認することができますが、新築の場合は予測することしかできません。
新築のデメリット3:希望のエリアに住めるとは限らない
どの都市でも駅近など人気エリアにはすでに建物が立っています。マンション・戸建てどちらも新しく建築される件数はかなり少なく、限りがあります。そのため、人気エリアで希望の広さや間取り、内装の物件を見つけることのハードルは高くなります。さらに新築は価格が高い分、人気のエリアだと手の届かない価格になってしまうことも。
また、建売住宅特有のデメリットがあることにも注意が必要です。注文住宅と違い建売住宅は、間取りやコンセントの位置などがライフスタイルにあわず、入居後に住みづらさを感じるケースもあります。オプションで間取りの変更や設備の交換ができる場合もありますが、範囲が限られることがほとんどです。
中古のメリット・デメリット
次に、中古住宅のメリット・デメリットを見ていきましょう。
中古のメリット1:価格が安い
まず、新築よりも価格が安いことが挙げられます。新築に比べて古かったり、経年劣化している物件もありますが、リフォームやリノベーションで、新築と同じように快適な空間をつくることができます。
中古のメリット2:管理状況から建物の価値を判断できる
中古住宅は適切に管理されているかどうかで、建物の価値が変わってきます。例えば、外壁や屋上にひび割れが発生したまま放置されると、建物の寿命は縮まります。しっかりと管理されているかどうかを購入前に確認できるのが中古物件のメリットです。現況を把握できるのはもちろん、数年後にどう変化していくのかといったことも予測しやすいと言えるでしょう。
中古のメリット3:初期費用を抑えられる
中古住宅は新築住宅と比べて物件価格以外に初期費用も抑えやすいというメリットがあります。
中古住宅の場合、税額を計算するための物件の評価額(固定資産税評価額)が低いことも多く、税負担を抑えられる傾向にあります。
そのほか、前の所有者から家具やエアコンを引き継ぐといったこともあります。業者が中古住宅にリノベーションやリフォームを施して販売している物件の場合、モデルルーム用に用意された家具がそのまま使えることもあります。こうした物件では引っ越し後に必要となる家具や家電費用を予定より安く抑えることができます。
中古のデメリット1:設備が古い
一方、デメリットとしては設備が古いことが挙げられるでしょう。
すべて新品の新築住宅と比較すると故障の可能性が高くなるため、修繕コストがかさむことが考えられます。リフォームやリノベーションによって最新の設備に交換することもできますが、後づけできない設備もあるため注意が必要です。気密性、断熱性を向上させる工事に対しては、自治体から補助金を受けられることもあります。
中古のデメリット2:住宅ローンを組めない可能性がある
住宅ローンの審査では主に借入者の年収や属性などが見られますが、物件に抵当権を設定することから、その担保価値も審査対象になります。そのため、築年数があまりにも古いと住宅ローンの審査で承認を得られない可能性が高くなります。
中古のデメリット3:耐震性能に注意が必要
1981年6月に建築物の耐震基準が見直され、それ以降に設計された建物は基本的に「新耐震基準」にのっとった設計となっています。
新耐震基準の方が震度に対する設計基準が上がっているため、どちらがより安全かと比較すれば新耐震基準以降のマンションということになりますが、耐震基準だけで判断できないため、注意が必要です。
「新耐震基準=安全」と判断したくなりますが、新耐震基準で建てられた建物がすべて安全で、それ以外の建物が安全ではないと言い切ることもできません。管理状態や建築後の耐震改修・耐震補強の有無などによって建物の性能は違ってくるため、新築時の耐震基準だけでなく建物の修繕の履歴や計画をしっかり確認するようにしましょう。
耐震についてくわしく知りたい方は下の記事も参考にしてみてください。
☞『中古マンションの「耐震性」、よくある疑問にお答えします』
中古住宅でもリノベーションで内装は新しくできる
中古住宅は価格の安さや管理状況の把握のしやすさの面でメリットがありますが、キッチン、トイレ、お風呂場などの設備や内装が古いというデメリットもあります。しかし、設備や内装はリフォームやリノベーションで刷新することが可能です。
また、新築でも、注文住宅でない限り、間取りや内装の自由度は低めです。リノベーションなら、自分が希望する間取りや内装にすることも可能です。
こうしたメリット・デメリットを踏まえ、新築住宅の購入価格と中古住宅の購入+リノベーションの合計額とを比較し、自分に最適な方を選ぶのもひとつの方法です。
まとめ
新築住宅と中古住宅について、それぞれの特徴やメリット・デメリットをお伝えしました。中古住宅は新築住宅と比べて価格が安い一方、設備が古く性能が低いといったデメリットがあります。
しかし、設備や性能は、リフォームやリノベーションで解決できる可能性があります。それぞれのメリット・デメリットをしっかり把握したうえで、新築住宅の価格と、中古住宅を購入してリノベーションする場合の価格を算定してみましょう。両者を比較して、どちらが自分にとってよりよい選択かを検討してみてはいかがでしょうか。
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