マンションと戸建ての維持費はどちらが高い?
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マンションや戸建ての購入には大きな費用がかかりますが、それぞれ必要となるのは物件の購入費用だけではありません。
住宅を購入する際、購入費用や住宅ローンに意識が集中しがちですが、購入後に発生する維持費も考えておく必要があります。維持費を念頭に入れたうえで資金計画を立てないと、入居後に住宅にかかる維持費で家計が圧迫される恐れも。最悪の場合、住宅を手放さないといけなくなる可能性もあるので注意が必要です。本記事では、マンションと戸建てで共通して発生する維持費と、維持費を抑えるためにできることを紹介します。
※最下部にある「費用情報に関するご注意事項」をお読みください。
マンション、戸建てに共通してかかる3つの維持費
マンション、戸建てに共通してかかる維持費は3つあります。まずはそれぞれの維持費について解説していきます。
税金
住宅を購入すると、「固定資産税」と「都市計画税」を毎年支払うことになります。それぞれの税金の内容は以下の通りです。
固定資産税
固定資産税とは、その年の1月1日時点で、固定資産となる土地や建物といった不動産を所有する人から徴収する地方税です。マンションでも戸建てでも同様に、固定資産税がかかります。戸建てと一緒に土地を購入した場合は、土地も課税対象になります。
税額は「固定資産評価額×1.4%」。例えば、固定資産税評価額が3,000万円の物件を所有しているなら、固定資産税は年間42万円です。
固定資産税評価額は3年に1度見直され、土地や建物の条件によっては固定資産税の特例や減免が受けられる場合もあります。
都市計画税
都市計画税は「市街化区域」において、土地や建物を所有している場合に課される税金です。税額は「固定資産税評価額×上限税率0.3%」で計算されます。仮に固定資産税評価額が3,000万円の物件なら、都市計画税は年間上限9万円です。固定資産税とあわせて納付書が届き、一緒に納付します。
修繕費用
建物は時間が経つと古くなり劣化や破損が発生するため、住宅を修繕する費用が必要です。マンションと戸建てでは修繕費用の準備の仕方が異なりますので、マンションの場合と戸建ての場合に分けて説明します。
マンションの場合
建物の大規模な修繕費として蓄えるため、月々1〜2万円程度を「修繕積立金」として管理組合に支払います。修繕積立金は、外壁塗装や屋上防水、配管設備の管理、防災用設備の修繕など、建物そのものや共有部分の修繕費用となります。
修繕積立金として支払う金額は、マンションごとに異なります。国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果」によると、月/戸当たりの「修繕積立金の総額平均」は12,268円です。
修繕積立金は、修繕計画に基づいて設定されます。場合によっては、当初の計画を超える大きな修繕工事が必要となり、蓄えた修繕積立金が不足することも考えられます。そういった場合は、月々の積み立てに加えて、一時金が必要となることもあります。
また、専有部分である室内のリフォームや修繕にかかる費用は、別途自己負担となります。
戸建ての場合
戸建てもマンションと同様、経年により壁や屋根が劣化するため、修繕が必要となります。屋根の葺き替えや外壁の塗り替えなど大規模な修繕は、築10~15年以降が目安とされています。そのほか、水回り設備の交換や畳の張り替え、ドアの交換など、住宅設備や内装の修繕も随時必要です。
部分的な修繕なら十万~数十万円ですが、大規模なリフォームをすると100万円単位で費用がかかる場合もあるでしょう。戸建ての場合はすべて自己負担になるため、修繕費用を計画的に準備しておく必要があります。
以下は、2016年の不動産情報サービス「アットホーム」の調査です。木造の新築戸建てを購入し30年以上住んだ場合、修繕費の総額の平均は556万円(平均築年数35.8年)。修繕した箇所の上位3カ所は、「外壁」、「給湯器」、「トイレ・お風呂」でした。修繕費用は、外壁の修繕(平均135万円)、給湯器(平均49万円)、トイレ(平均51万円)、お風呂(平均107万円)という調査結果でした。
マンションの修繕積立金を月1~2万円程度とする場合、平均1.5万円と考えても「1.5万円×12ヵ月×35.8年=644.4万円」となります。戸建ての平均築年数と同じ期間に支払う修繕積立金の総額は、約644万円です。さらにマンションの場合は修繕積立金のほか、室内の修繕も自己負担する可能性があります。マンションと戸建ての修繕費用を比較すると、マンションの方が高くなる可能性があると言えるでしょう。
保険料
住宅を購入すると、火災保険に加入することになります。住宅ローンを組むときに一緒に入るケースが多く、損害保険や地震保険などにも加入する場合もあります。保険料は保険の種類や保険会社、補償内容によって異なりますが、年間1~2万円程度が相場です。
マンションと戸建てでは、マンションの保険料が安い傾向にあります。マンションは鉄筋コンクリート造で、火災に強いことが理由といわれています。
マンションのみにかかる維持費
ここまでマンション、戸建てに共通してかかる維持費をご説明しました。ここからは、前述の維持費に加え、戸建てでは発生しないマンション特有の維持費についてご紹介します。
管理費
マンションの共用部分を適切に維持・管理するための費用です。月々1〜2万円程度が相場といわれています。具体的には以下のような費用に充てられます。
- エレベーターや自動ドアなどの電気代、メンテナンス費用
- 建物の玄関や共用廊下の電気代、清掃費用
- 管理員の人件費
- 警備員や防犯カメラの費用
- ゴミ収集場所の清掃費用
- 植栽の手入れ費用
- 電気・給排水設備の保守点検費用
- 共用部分の火災保険・地震保険料など
管理費として支払う金額はマンションごとに異なりますが、共有設備が豪華なマンションほど管理費も高くなる傾向があります。
国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果」によると、月/戸当たりの管理費の総額の平均は15,956円です。全体の維持・管理にかかる費用を戸数で割るため、総戸数規模が大きくなるほど、1戸当たりの管理費は低くなる傾向にあります。
駐車場・駐輪場代
マンションの駐車場を契約した場合にかかる費用で、相場は月々5,000円~3万円程度。首都圏の場合はさらに高い場合もあります。機械式駐車場の場合、維持管理費のほかに修繕や交換にも費用がかかり、修繕積立金でまかなう場合も。また、駐輪場が有料というマンションもあります。
マンションや戸建ての維持費を抑える方法
維持費は住んでいる限りかかるので、長い年月をかけて支払う維持費の総額は大きな出費となります。維持費を抑えるためにできる工夫を紹介します。
マンションの場合
マンションの維持費のなかでも、大きな割合を占める修繕積立金についてしっかり検討すれば、維持費を抑えられる可能性があります。
新築マンションを購入する
新築マンションは経年劣化が少なく、メンテナンスの必要性が低いため、修繕積立金が低く維持費を抑えられる可能性があります。中古マンションのように、新築から時間が経過して築年数が増えると、修繕積立金が上がり維持費も高くなるでしょう。
「公益財団法人東日本不動産流通機構」が2019年度に調査した資料では、平米あたりの修繕積立金は築10年以内で133円。それに対して、築11〜20年は172円、築21〜30年は181円、築31年超は185円と築年数に伴って上がっていく傾向にあります。
維持費が高くなったら住み替えの検討も
前述のとおり、築年数が増えると修繕積立金が上がり、維持費が高くなっていくことが考えられます。室内の内装や住宅設備が劣化、破損して修繕が必要になることもあるでしょう。修繕積立金や個人負担の修繕費用が高額になる前に、新築や築浅のマンションへ住み替えるのも維持費を抑える方法のひとつといえます。
戸建ての場合
戸建ての場合も、修繕費用を抑えることで維持費を安く抑えられる可能性があります。
メンテナンスフリーの外壁材や屋根材を使って建てる
屋根や壁は雨風にさらされるので、一番劣化が早い部分です。耐久性のある素材を使って建築することで、屋根や壁のメンテナンスにかかる手間や費用を抑えることができます。
建築時の費用は高くなるかもしれませんが、長い目で見た時に「建築費+修繕費」の総額を押さえられる可能性があります。
定期的な点検と早めの修繕対応をする
定期的に家の状態をチェックして劣化や破損を見つけたら、早い段階で修繕するようにしましょう。早めに修繕できれば簡単な工事で対応ができ、工期が短くてすむため費用を抑えられる可能性があります。
「少しくらい大丈夫だろう」と劣化や破損を放置していると、状態が悪化して大規模な修繕が必要となる恐れも。結果的に大きな費用がかかってしまいます。
まとめ
マンションと戸建ての維持費を比較した場合、月々の管理費や駐車場代などでマンションの維持費の方が高くなる傾向があることがわかりました。
物件の状態や種類、管理状況によって修繕費用は異なりますが、住宅の購入は維持費も含めて資金計画を立てることが大切です。
持ち家の購入と賃貸住宅の比較については、下記の記事もぜひご覧ください。
賃貸と持ち家どっちがお得?購入vs賃貸を比較! >>
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