中古マンションの「耐震性」を見極めるには?リノベーション物件選びのポイント

中古マンション

中古マンションのリノベーションで気になるポイントといえば、真っ先にあがるのが「マンションの耐震性」ではないでしょうか。

長く暮らすことになるマイホーム、たしかに注意すべきポイントですが、一方で耐震性は誤解や間違った認識が生じやすいポイントでもあります。

今回は耐震性に関する“よくある質問”をピックアップ。一つずつ解説していきます。

目次

  1. 一戸建てVSマンション。耐震性能が高いのはどっち?
  2. 「新耐震基準」以降の建物のほうが安心ってホント?
  3. 耐震・免震・制振 何が違うの?
  4. 築年数以外に、チェックするべきポイントは?
  5. 耐震補強していればOK?修繕や補強履歴・計画を見る上でのポイント

一戸建てVSマンション。耐震性能が高いのはどっち?

耐震性能はマンションのほうが高いと考えられがちですが、きちんとした設計・構造であれば、一戸建てでも問題はありません。また建物の寿命も耐震に深く関係しています。諸説ありますが、例えば早稲田大学 小松幸夫教授らの調査によると、建物の平均寿命はRC/鉄筋コンクリート造マンションで68年、木造住宅で64年とされています。

また木造一戸建ての場合は、地震の際に起こる飛び火の問題やシロアリ対策なども必要になってきます。

「新耐震基準」以降の建物のほうが安心ってホント?

日本の建築物の耐震基準は、関東大震災(1923年)、福井地震(1948年)、十勝沖地震(1968年)、宮城県沖地震(1978年)といった大地震が発生するたび、新基準の制定や改正が繰り返されてきました。その中でも、特に大きな改正となったのが、1981年の建築基準法大改正です。

1978年の宮城県沖地震(宮城県内:死者27人、建物の全半壊7500戸)を教訓に、住宅やマンション・ビルなどの建築物を「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7程度の大規模地震でも倒壊は免れる」強さとすることを義務づけ、新たな設計基準を設けました。これが「新耐震基準」です。

新耐震基準の有効性は、阪神大震災において証明されたと言われます。国土交通省の公式サイトにも「阪神・淡路大震災では、住宅・建築物の倒壊による大きな被害が見られた」とする中で、「特に新耐震基準が導入された昭和56年以前に建築されたものに大きな被害が発生」と記されています。

どちらがより安全かと比較すれば新耐震基準以降のマンションということになりますが、一方で、それ以外の建物が安全ではないと言い切ることもできません築40年を超えるマンションの中にも、耐震構造的に高いレベルで安全性を確保しているものはありますし、耐震診断の結果、新耐震基準をクリアする耐震性が認められたものもあれば、耐震改修・耐震補強を行っているマンションもあります。

築年数はマンションの価格に非常に大きく影響する要素です。どの時期のマンションを購入すべきかについては、あくまで「購入される方の考え方次第」ということになるでしょう。

リバーサイドに立ち並ぶマンション

耐震・免震・制振 何が違うの?

現在の住宅建築の構造における地震対策は、主に「耐震」・「免震」・「制振」に分かれます。この3つの違いは、地震により発生する振動エネルギーの伝達をいかに防ぐか、その防ぎ方の違いです。

●耐震:
建物を頑丈なつくりにすることにより、地震によって壊れないようにすること(地震の揺れを防ぐような付属の装置は使わない)。建物の骨組みなどを強化し、さらに建物の躯体を筋交い(柱と柱の間に斜めに入れて構造を補強する部材)や補強金物等を用いて強化することで、地震の揺れに対する耐久性を高める手法です。

●免震:
建物を地面と切り離して、揺れを伝えないようにすること。建物と地盤の間にゴムなどの装置を設置し、地震の揺れを建物に伝わりにくくする手法です。

●制振:
建物の要所要所に、オイルダンパ装置(衝撃や振動をやわらげるもの)をはじめとした“揺れを吸収する”特殊な装置を備えること。地震時に発生する建物の変形を制振装置に吸収させることで、地震エネルギーを建物に伝わりにくくし、建物の揺れを少なくする手法です。制震装置は、大きな振り子のように動力を使わないパッシブ(受動的)制御と、油圧・電気などで動力を提供するアクティブ(能動的)制御に分かれます。実は日本古来の五重塔も、揺れを建物全体で吸収する構造になっています。

コスト面でいえば、工事工程の多い「免震」や高価なダンパーを利用する「制震」は、「耐震」と比べるとコストが高め。実際、現在の既存住宅の地震対策は、コストの問題もあり「免震」「制震」よりも「耐震」が一般的です。家具の固定など建物内部の地震対策をしておくと、1981年以降につくられた「新耐震基準」で建てられたものならば「耐震」でも充分だという専門家の意見もあります。

築年数以外に、チェックするべきポイントは?

マンション選びにおいて築年数と同じくらい重要にも関わらず、見落とされがちなのがマンションの管理状態です。マンションも大切に使えば丈夫な状態で長持ちしますが、逆に管理の不徹底が耐震性能にまで影響を及ぼすケースも。定期的な修繕が行なわれている、または今後の修繕の計画がきちんとなされているマンションを選ぶことを強くおすすめします。

不動産屋さんを通じてマンションの管理組合にお願いすれば、修繕の履歴や計画を教えてくれますので、気に入ったマンションが見つかった際はぜひ購入前に確認しましょう。また目視によるチェックだけでも、しっかり手入れや修繕を行っているマンションかどうかある程度予想することができます。外装や共用部、植え込み等、きちんと手入れされてるか確認してみましょう。

中古マンションの共用部を見学をするふたりの人物

耐震補強していればOK?修繕や補強履歴・計画を見る上でのポイント

マンションの管理状態は、建物の耐震性にも影響します。耐震補強工事をおこなったマンションを購入する場合も、管理状態のチェックは欠かせません。マンションの場合、耐震診断や耐震補強という取り組みを個人でおこなうことはできません。そのため、マンション全体の管理に関する意識の高さがより大切になります。ここからはマンションの購入前にチェックしておきたい項目をご紹介します。

耐震補強工事の内容
耐震補強工事を実施したかどうかだけでなく、どういった補強を施したか、最終的にどの程度の強度になっているかが重要です。マンションによっては、耐震補強工事をおこなったものの、新耐震基準を満たしていない場合があります。現行の基準を満たしていることは、安全面だけでなく住宅ローン控除等の税制優遇の対象となるかどうかに影響します。耐震補強されたマンションを購入する場合も、購入前にどの程度の補強がされたかを確認するようにしましょう。

修繕計画
耐震補強の履歴がある・ないに関わらず、マンション購入前に確認しておきたいのが長期修繕計画。暮らしやすさや管理状態は、今だけでなく将来の暮らしにも大きく影響します。つまり、入居者にとって安全で住みやすい環境を保てる計画があるかどうかは、そのマンションの資産価値にも影響します。長期修繕計画の内容が、定期的に見直されているかどうかも確認しておきましょう。
日常的な管理状態は、エントランスやホール、植栽やゴミ置き場などの共用部からも推測することができます。物件内見の際に、室内だけでなく共用部の状態もチェックすることをおすすめします。

修繕積立金を含む資金計画
長期的な修繕の予定だけでなく、必要となる資金の計画が適切になされているかも確認しておきたいところです。修繕積立金は新築時から一定ではなく、修繕計画に合わせて見直されます。修繕内容や実施時期に合わせて現実的な計画がされているかを確認しましょう。万が一、工事直前まで資金不足を認識できていないと、急いで工事費用を捻出することになります。修繕積立金の急な値上げや、管理組合の借り入れなど、想定外が発生することも。
安全に住み続けるための計画が、資金面でも適切に行われているかを事前に確認しておけると安心です。

 

中古マンションの耐震性は、築年数だけで単純に判断することはできません。物件購入前に、しっかりポイントを押さえて確認しましょう。中古マンション選びは、マンションの管理状態も含め物件の本質を見極めることが大切です。

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